「閉鎖病棟物語」 #0
「閉鎖病棟」と聞いて、皆さんはどの様な印象を持たれるでしょうか。
正直、僕は医師から入院を勧められた時、全く良い印象を持てませんでした。
「病院のベッドで寝ているだけで、何故病気から回復できるのか?」
「入院にも費用がかかるではないか。その費用に見合う成果は得られるのか?」
「”閉鎖病棟”って、制限が多そう…」
そのような思いを持っていたが故、「閉鎖病棟」への入院を固く断り続けていました。
それまで「うつ病」と「アルコール依存症」で県立の精神医療センターに通院していました。
いえ、それ以前も複数の“街のメンタル・クリニック”に通っていたのです。
結論を先取りすれば、予約をしたのにもかかわらず散々待たされるか、そうでなくても診察は5分程度の“軽い会話”で、あとは処方薬を貰い、自宅に帰る。それで「治る」わけがありません。
自分でも書籍やネットでこれらの病気とそれに対する治療法を勉強し、日々の生活の中で実践、試行錯誤を繰り返してきました。しかし、それらの努力はいずれも“短期的な成果”にとどまり、“根本的な治癒”には繋がらなかったのです。もっとも、それなりの効果はありましたが、病気が根本的に「治る」ということはありませんでした。
いよいよ、僕自身「この病気は“自力では”治せない」と確信せざるを得ませんでした。
いくら“自力”で頑張っても、限界がありました。とうとう身体がアルコールを受けつけなくなり、「このまま続ければ、本当に死ぬのではないか」という“危機感”によって、いわゆる任意入院(強制ではなく自ら望んでの入院)を決意しました。
ただ、これまでの人生で一度も閉鎖病棟に入院をした経験が無い自分にとって、それは不安と疑問しかありませんでした。ネットで調べても、殆ど情報が出てこないのです。
入院を考えた当時、病院についてあまり好ましいニュースはありませんでした。つまり、平たくいえば、医療従事者が患者を傷づけるケースが連日のように報道されていたのです。
「殴られたら、殴り返すまでだ。」とまで思っていました。
結果がどうなるか分からぬまま、6月中旬から2か月間入院することにしました。初日には飲酒で遅刻し、翌日正式に入院することになりました。
(次回に続く)