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【ガールズバンドクライ8話感想】~井芹仁菜の叫び。

元々漫画や小説は完結してから一気読みする派だった。
アニメも放送クールが終了してから見始める派だった。

感想を書くのも完結した作品を基に書いていた。
それが作品に対する正当な評価だと思っていた。

その拘りを「ガールズバンドクライ」は易々と壊してきた。

何時もはアマゾンプライムビデオで見ているところを、配信を待っていられず、第8話はTVのリアタイで見た。

(映画ではない)アニメをリアタイで見たのは何年ぶりか。

作品に関する考察をする知識なんて持ち合わせておらず、すばるは何故最後立ち上がったのだろうとか、何故すばるは風呂上がりだったのだろうとかの理由の答えを導ける訳でもないので、ここでは一旦それは置いておいて、何故私は毎話毎話このアニメの感想を書きたくなるのだろう。

多くの人にこの作品を知ってもらいたいという理由もあるだろう。
感想を色々な人と共有したい気持ちもあるだろう。

では、「ガールズバンドクライ」の何を知ってもらいたいのか。
知ってもらいたかったものの一つが、第8話でニーナが何度も叫んでいた「夢を諦めた事に対する肯定」だった。

人生は選択の連続で、その全ての選択を正解できる人間など存在しないはずであり、その選択の中で「夢を諦める」選択をした人も多いはずだ。
夢を諦める理由は人様々だと思うが、私は夢を諦めて今を生きている人間の一人だ。

もちろんニーナが作中で肯定しているのは桃香である。
自分が間違っていないと勇気を与えてくれた桃香の歌に対してだ。
ニーナは作中「桃香さんは間違っていない」と叫び続けている。
その叫びは夢を諦めようとする桃香に対してであり、もう一度桃香にバンド活動をさせる為の鼓舞でもある。

ニーナが肯定する桃香の選択とは、売れるために自分の歌を捨てることが出来なかった事であり、自分の夢を捨てなかったが為に、「何時までも一緒に歌おう」と誓い合った仲間と離別した事であり、もう一度新たな仲間とバンドを始めて良いのだろうかと言う葛藤であり、それらをニーナが叫び肯定する。

世界中の人間全てが否定しても、私だけは肯定する。
何故なら私は貴方の歌に救われたのだから。

その肯定は視聴者である私に対して向けられた台詞ではない。

しかしその叫びが何故か私の心に突き刺さる。
私が肯定されたような気持ちになるのである。

「夢を諦めた事は間違いじゃない」

ニーナの台詞の趣旨とは少しずれた方向で私の心に響いてくる。
更にニーナの叫びが聞こえてくる。

「だから動き出せ。」

それは諦めた夢をもう一度追いかけろと言う意味では無く、単に

自分を信じろ。
動き出せ。

と、私の心に響くのだ。

第8話の最後に桃香は泣く。
サブタイトル「もしも君が泣くならば」の通りに泣く。

夢を諦めようとしていた人間が、「夢を諦めたのは間違ってはいない」「貴方は私と一緒にその諦めた夢を追い続けなければならない」「私達が正しかったって言いますから」「貴方が好きです」など真顔で全肯定されたら泣くだろう。

桃香と共に私も涙し、ニーナの「間違ってはいない」は傍観者であるはずの私の心にも突き刺さり

”そう言ってくれて有り難う。”

何て心の奥底でこそっと思いながら、ニーナの言葉に涙ぐみ、過去夢を諦める選択をした自分を許して良いのかな、まだ頑張っても良いのかなと思ってしまうのである。

ガールズバンドクライは井芹仁菜の”cry”(叫び)であり、それは過去の自分を肯定し、明日を再び夢見ることは悪いことではないと我々に歌う応援歌なのである。










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