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浪花節だよ人生は【ウマ娘3期感想文】

アニメ「ウマ娘3期」を観終えたのでネタバレ感想文です。
今後のウマ娘コンテンツの発展に1ミクロンでも貢献できるのであれば、との思いから感想を書かせていただきます。

私はキタサンブラックが競走馬として活躍していた頃には競馬は見ていませんでした。
ただし、この馬の存在はニュース等で話題になっていたので知っており、演歌歌手の北島三郎氏が馬主であるくらいの知識は当時から持っていました。

「金持ち芸能人の道楽か~まぁ羨ましい。」
「何もかも手に入れた人物が競馬にも手を出すのか。」
「他の馬、北島三郎の馬なんかに負けるなよ。」

何て当時は僻み根性丸出しで、氏がどのような思いで馬主になっているのかは知る由もなく(ちなみに今も知りません)、キタサンブラックのレース結果を流し読みしていたと思います。

そして実際のところ、”キタサンブラックはオグリキャップやトウカイテイオー並みの、誰にとってものスターだったのか?”この認識の違いが、この作品の悲劇(?)を産み出した原因だったのではないかと思っています。

私はレース結果を流し読みしていただけなので当時のキタサンブラックの人気は知りません。
ですが私は、キタサンブラックに対して良いイメージを持っていませんでした。

このアニメを観終えるまでは。

このアニメを観終えるまで、キタサンブラックを芸能人が所有する馬というレッテルだけで好きになれずに、自分の中で作り上げたイメージが全てと思い込んだ挙げ句、この馬を正面から見ようとしない私がいた事に気付かされました。

”芸能人が所有する馬=生まれながらに全てを与えられた馬”

何て有りもしない僻み根性だけで私が勝手に作り上げた虚像を、私はさも真実だと思い込み、キタサンブラックを色眼鏡で見ていたことは間違いありません。

この考えは私だけの思いかもしれませんが、ある一定の人たちにも通ずるものがあるかと思います。

そしてウマ娘3期の主人公がキタサンブラックであると知ったとき、この私が勝手に作り上げていた偏見を、あるいは世間から芸能人の馬として色眼鏡で見られていた逆境を、努力と根性と友情で覆していくドラマになるのでは、また北島三郎氏がどのような思いで馬主になっているのか、その答えが分かるのか、と勝手に期待していたのですが、現実は違っていました。

実際のウマ娘3期は、ちょっと豪華なファンアニメの様になっていました。

ウマ娘と言うコンテンツであるから最後まで観ることが出来たのか、アニメの質そのものがそこそこ良かったから最後まで観ることが出来たのか、そこは判断が難しいところですが、少なくとも2期の次元には遠く及ばないのが現実でした。
但し、最後まで観ることが出来たアニメであることは間違いないので及第点は確実にあるが故にまた惜しい。

作中のキタサンブラックのキャラに嫌みがなく、ある意味私の偏見を洗い流してくれたアニメだったと言えなくもないですが、何処か勿体無い気がしてなりません。

勿体無いと言えば、馬主である北島三郎氏を彷彿させる要素がほぼ出てこなかった事も悔やまれます。
寝巻きの浴衣とキタサンブラックが「祭り」と言う単語を連呼していたぐらいで、契約の関係か「演歌」要素が皆無なのが勿体無かった。
ウイニングライブでの演歌は無理でも、学園祭で一度ぐらいは演歌を歌って欲しかった。

ライバル達のその後も知りたかった。
これは他のシリーズでは特に気になる要素ではなかったのですが、何故か3期は”その後”が気になりました。
おそらくこれについては、終わってみればキタサンブラックの戦績が圧倒的で、同時期のライバル達にとっては「打倒!キタサンブラック!!」が合言葉になっていたと思われ、如何にキタサンブラックを倒すのかが一種のモチベーションになっていたのではないか、そして(なんやかんやで)圧倒的に強いキタサンブラックより、いつもキタサンブラックに及ばないライバル達に私が感情移入してしまっていた為じゃないかと思っています。(ライバルポジのサトノダイヤモンドのその後も不明で終わりましたし・・・)

そう考えると、主人公はキタサンブラックにせず打倒キタサンブラックを掲げたライバルの誰かにした方がより一層物語に厚みが出た気もします。

そして極めつけと言うか、言いがかりに近い事を書きますが、OPのタイトルロゴが出る空の表現がいただけない。
あの場面、ウマ娘達がゲートから出た後に地面が反転し、地面が画面の上に、空が下になってタイトルロゴが出ますが、これがどうも落ち着かない。
全てが下に落ちてしまうのをイメージしてしまうのです。
3期の行く末を暗示しているようで、出来たらもう一回地面が下に来る様に空を回転させて欲しかった。

と色々書きましたが、このアニメは及第点はあると思っています。
キタサンブラックに対して良いイメージを持っていなかった私の評価を覆させた今作のキタサンブラックのキャラクターは素晴らしかったと思いますし、キタサンブラックに対して私と同じような偏見を持っている方に是非観ていただきたい作品だと思います。

最後に一言。
ウマ娘と言うモンスターコンテンツに対する期待度がどうしても大きくなってしまうが故の評価は確かに存在するとは思いますが、それらの評価をバネにして、制作に携わる皆さま方にはこれからも素晴らしいウマ娘作品を世に提供していって欲しいと願う次第なのであります。


蛇足
タイトルに書いた歌を歌っているのは細川たかし氏です。
はい(汗)


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