「ではこれにて健康診断は終了となります。依山さんお疲れ様でした。来年から人間ドッグが適用になりますのでそちらをご利用ください。」 身長１６０センチ、体重９６キロ、38歳、女、妊娠経験なし。 見慣れた情報が書かれた紙を折りたたんだ。 半官半民企業として日本のエネルギー産業を一手に引き受けるイヅミグループでは、毎年6月に社員の健康診断をおこなっている。私もその例に漏れず本日6月14日に健康診断を受けにきたのだった。 普段出先の事務所で働いている私にとって、本社に来るのは久しぶり
白い山羊を曳いてその男は現れた。 早朝、女たちが野苺を摘んでいるときに草をかき分けて現れた。 男は自分を牧人だと言ったが、連れているのは白い山羊一頭だけだった。 山羊は大きく、男によく懐いていた。山羊のツノは大きく、外側に行くに連れて曲がっていた。その曲がり方は鄙の外れにある高い山によく似ていた。 まれびとの少ないこの鄙で男は物珍しがられた。 鄙の長は男に納屋を貸し与え、男はそこで山羊と暮らした。 男に近付くものは少なく、長の家の婢女が毎日少しのパンと乳を届けるだけだった。
文章を書きたいという強い欲望があることに気付いて、パソコンの前にすわった。 20分ほど私はその欲望を持て余していた。何を求めているのか自分でもわからなかった。文章が書きたいって、不思議な欲望だ。私は今文章が書きたい。文章を書くことで自己開示をしたいと考えている。 普段よく文章を書く方ではない。大学の課題もあまり真面目にやる方ではないし・・・ 結局それって自己開示を避けているということだ。 以前の私は自己開示を避けていなかったと思う。以前って、2020年のことだ。さっき
たまに絵を描く。ときどき描きたくなる。ものすごく描きたくなって、我慢できなくなる。描いていると夢中になる。同時に、うまく描けなくてイライラもする。できあがったものを見るとほっとする。いつか漫画を描いてみたいと思う。
