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五山の送り火を追いかけ回して、結局すぐそばにあった話

ヌマルネコは学生時代、京都に住んでました。
いいでしょ、羨ましいでしょ。

きっかけは中3の時。
もう、今回もさらっと平成前半に遡りますけどね。

私はるろ剣にドハマりしてました。
早朝4時半くらいから起きてアニプレックスで毎日リアタイ。もともとは小学生の時に地上波リアタイしてたんですけど、ハマりなおしてみるとそれはもう周りにドン引かれるほどのドハマり。高校から剣道部に入るほどのドハマり。脳内で「瞬天殺ッ!!」って言いながら目をギラつかせて(る気になって)コテ打ちとかしてた。
(ごめん!あなたの動き全然速くないの!むしろ遅いの!やめて過去の私!私の精神を殺さないで!)

そして某田舎で剣を振るう事に辟易した私は
(いや、クッソ弱いんだけどな!気づけ!まじで!)


何が何でも京都に、行きたい。

観光とかじゃなくて、浴衣着て歩いてるリア充を「暑いのに我慢強いですなぁ」とかクッソ上から目線したい。

いやとりあえずるろ剣OP2期の名所であれ全部やりたい。

そうだ、京都行こう

…とまぁ、思い立ち、親には「自立したところを早く見せたいしさ…」「京都という歴史ある地でなら人生の答えが見つかるような気がする!」とかなんとか御託を並べて、なんとか入れた夢の地の大学へ進学したのでした。許してくれた親すげえよ。

そして1回生。
夢の地で真面目な大学生活を送っていたかというと、そんなわけもなく。ズボラを絵に描いたような私は1、2限は平気で寝過ごし、大学へは学食と関西弁の語学留学をしにきているのが実態だった。両親に土下座。

日に日に上達の手応えを感じる関西弁とは裏腹に、マジで全くわからない力学。

前期のテストは本気で考え抜いた結果2点で、いやむしろどこに2点ついたのかっていうと、わからなすぎて途中式何も書かずに授業で何度か見かけたφを(牙突っぽい形だから好き…)と思って書いたら当たってたってだけで実際は紛う事なき0点なのだが、先生が「0点は…僕書けないよ…」と守ってあげたくなるような顔で言うもんだから「先生…!そんなに思い詰めんで!」とか言って励まそうとしたら上乗せされた問題集とレポート。

大学の長すぎる夏休み、バイトの合間に禿げそうになりながらやってましたよ。なんだよ、先生…俺わからないんだから解けっこないのに。俺は気にしてないってのに。

そしてあの日。
3000円で買った扇風機の風をゼロ距離で浴びながら、尻とフローリングの間に汗のヌメヌメを感じ、時折発狂しながらコンビニ弁当を貪り食う生活を3週間続けた頃、

夜闇と白い蛍光灯しか見えないはずのすりガラスの窓がオレンジ色に光り始めました。


こ、これは…!

山が!(窓をあけると「大」の字がででーーん)

燃えている!!


実は私、あんなに京都狂いの雰囲気出してたくせに送り火で山に放火される事は4月に来て知った情弱。

噂に聞いた送り火ってこれか!と大興奮して唐揚げ棒を詰め込み、アパートの屋上に全力疾走。うちのアパート、屋上で柵に乗り出して給水塔に足をかければ4つ見える最高のスポット!6畳ワンルーム収納無しユニットバスひと口コンロ家賃4万円!!


だ っ た ん で す が。

屋上に飛び込むと、そこにはお隣さんが彼氏にあすなろ抱きされている姿。もーークッッッソやらしい雰囲気。


とっさの判断が早く、顔を見られる前に扉を閉める。何なら鍵も締めたかったけどそこは我慢。

「いや、うち女子専用アパートだろうが!」って叫びそうだったのを喉に押し戻し、階段駆け下りて今度はチャリで川に出ることに。

川までは普段7分はかかるところを爆走して4分。

五山のうち3つを見渡せる場所にたどり着いた。

もう、喉から血の味。毎日剣道で火サスばりの奇声?悲鳴?出して鍛えた喉でも限界突破。

急いで山を見渡す。

だけど、見えたのは「法」字の真ん中のぐちゃぐちゃっとしたところが弱々しく光ってるところだけ…


んだよっ!
絶対屋上だったら見れたのに!
お隣さんめ!
あれ、絶対4月の引越し挨拶行った時のと違う男やろ!
(引っ越し挨拶行ったらシャワー浴びたてのムワムワお隣さんが出てきてムワムワした話はまたの機会に)

はぁ……

早いとこ牙突零式扇風機Max風量で汗と鬱憤を飛ばすことにしよう、と来た道をまた戻る。

その途中なんかクラスの男子っぽいやつがコンビニから出てくる気配がしたのを全力で回避。

無事にたどり着いたアパートの階段を登った、その時。


(…むず)

ん?

(むずむず)

あれ?

(…むず…むずむず…むずむずむずむずむずかゆっかゆっいかゆいかゆいかっっゆっ!!!)

急に両太ももが痒くて痒くて、これ全部蚊に刺されたやつでもまだ足りないレベルの痒さに。
玄関開けたその足で風呂に直行して延々冷やしても、水を止めると痒いったらもうっ!!

かきむしらないようにとは思いつつも耐え難過ぎて指の腹で擦る。さすっ!さすっ!さすっ!さすっ!弐の秘剣!紅蓮腕!!!

すると、なんと!みるみる擦ったところが膨らみだし、ミミズ腫れのように!!

ひゃー!!なにこれぇ!!!

線書ける!!

明らかになんかヤバそうなのになんか面白くなってきて、自分の太ももに色々描いてみる。やっぱとりあえず💩は描くよね。

1分程すると自然に消える。

ほほう…。雅な…。

なんて刹那的…。


嗚呼、それならば。


私は本物に忠実に、左右の太ももに「大」「法」「⛩️」「⛵️」「大」と刻んでみた。

今日見れなかった送り火。
でも、善き哉。こうして見れた。
また来年見れると良いな。

しみじみと、初めての、夢の地、京都の夏を噛み締めた。

そして、すべてが消える前、右の太ももの空いたスペースに「φ」を付け足してみた。

私の唯一の技、φ。
案外、五山の送り火の1つでも良いんじゃないか?形が良いよね、φ。

※謎のミミズ腫れ現象は蕁麻疹かなぁ〜とのことでした。三食コンビニ弁当を3週間は人間ホワイトボードになれるようです。(n=1)
お気をつけあそばせ。


沼る猫


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