入院生活

入院生活はというと、当然あまり良いものではなかった。

意外にもとても退屈だったわけではなく一日はすぐ終わった感覚であったし、マリコ様似の看護師さんをはじめ看護師さんたちもみな優しかったが、不便な要素は多かった。病院食は量も少なく正直食べごたえは少ない。夜は同室の隣のオジサンがけたたましいいびきをかき、わりとどんなとこでもすぐ寝れる僕でも夜中にいびきで何度か起こされてしまった。あの人はきっと府大会までは優に勝ち進むいびきトップランカーであろう。いびきでベースとボイパの二役を兼ね備えていた。そしてもちろん、相部屋で1週間、いつ看護師の方が入ってくるか分からないという状況であるから、それはそういうことでもある。
 ところで、全然関係ないが、禁欲というと、欲を禁ずるとしか書いていないのに、普通人は性欲を禁ずることをさす。広義では欲全般を指すみたいだが、人間は、三大欲求とか言いながら特筆しなければ性欲が一番であるということを勝手に思っているのかもしれない。確かに、性欲がなければ子孫は繁栄しないわけで、それはきっと生命維持につながる睡眠や食事よりも大事なのだろう。
話が逸れてしまったが、そういうわけで、僕の入院生活は、広い意味での禁欲生活となってしまった。途中から病院食には飽きて、さらに一食460円と意外とする事実に気づき、夕飯以外は止めてもらいコンビニで済ますことにした。

それでも、この事故はネガティブな要素ばかりではなかった。

あまり事故のことを大っぴらにアピールしても心配にさせる人を多くするだけかなとも思ったので、入院期間中に会う予定だった友達や、LINEくれたりしてた友達何人かに事故のことを伝えただけだったが、それでもその人たちは心配してくれたり、その人たちづてに僕の身を案じて連絡くれた友達がいて、僕が事故っただけでこんなに心配してくれるのだから、この人たちを悲しませないためにも、生き続けなきゃいけないし、僕だけの命じゃないと本気で思った。ありきたりな表現になってしまうが、友達は大事にしないといけないとも思った。

そうして、1週間が過ぎ、入院中の全ての費用が請求され、愕然とした。入院生活で記憶にないけど何か器物を破損したっけ、そう思うくらいには高額だった。この金額を聞いた時、がんでんが買っていた中古車が思い浮かんだ、それくらい高額だった。

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