すべての道は新宿に通ず(と本気で思ってたときがある)

東京は夜。
本来の東京というと現在の台東区や中央区のあたりの下町を指すのだという説もあるらしいが、おそらく東京通でもなければ新宿が浮かぶ人は多いんでは無いだろうか。

新宿といえば、数多の鉄道路線が乗り入れており、1日の乗降客数世界一を誇る一大ターミナルだ。近郊に住んでいるので年に数度は用事が無くても寄ることになるし、乗り換えには自然と新宿経由のルートを選択しがちだ。
今調べたら11路線通ってるらしい。思ってたより少ないが、成田エクスプレスまで乗り入れているとは知らなかった。もし成田空港に用事があったら迷わず新宿駅から成田エクスプレスに乗るだろう。

とにかく人が多く、便利だし何でもある。だから幼心に「東京を走るすべての電車は新宿を通っている。」と本気で思っていた時期がある。
そこそこ大きくなり、初めて一人で東京へ出掛けたときに直接新宿を通らない路線を発見した時は本当に驚いた。
この話はあまり共感が得られないのだがみんなそんなに現実が見えていたのだろうか。かつてのローマ帝国のようにすべての道が通じているように見えた時期があるはずだ。

もっと驚いたのは、とても栄えている大都会にも家があり人が住んでいるということだ。さすがに田舎のような一軒家が建ち並ぶところと繁華街は別れているが、新宿区という自治体にも住宅街はある。通りがかったことがあるが年期のある平屋が建ち並んでいる中で少し空を見上げれば超高層ビルが目に入る。少し異様な感じがしたのを覚えている。

コロナが流行ってからなんとなく外出しなくなっていたが、住んでいない街を見る。そこには酔っ払って前後不覚になっている若者やたむろする外国人、仕事帰りの会社員、楽器を背負った若者や高校生と思しき学生。
世の中には色んな人が居る。知らない世界で知らない時間が回っている。
終着点はないだろうが、どこへでも道が通じていると思えれば明日もまた穏やかに過ごせると思う。

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