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取り付け騒ぎで、裏が白いお札登場・・・て、マジ?(愚痴日記#20)

 GW明け。

 プロデューサーSには、宿題をこなしたこと、さらに信用金庫で起こった取り付け(豊川信用金庫事件)についても調べたことも報告した。(愚痴日記 #19)

「怖いだろ、取り付けって。女子高生のひと言が、銀行を窮地に追い込んだのだから。でも、日本金融史上最悪の取り付けでは、もっとひどいことが起きたんだ。1927(昭和2)年 3月14日に始まった昭和金融恐慌だ。発端は女子高生なんかじゃなく、大蔵大臣、現在の財務大臣という、金融の最高責任者の『失言』だった。」

 高校時代の日本史に出てきた気がする。ほとんど覚えていないけど・・・。

「この時、日銀は預金者を安心させるために、お札を銀行の窓口に積もうとした。『お金はあるから、大丈夫だ・・』ってね。ところが、取り付けが全国規模だったから、お札が足りなくなった。必死に刷っても足りない・・・ということで、印刷時間削減のために『裏白』というお札を発行した。表は印刷されているけど、裏は真っ白。偽札のほうがよっぽどちゃんとしているけど、本物だったんだよ。」

「裏白」の紙幣 (国立印刷局からの引用)

「原因となった『失言』って、何だったんですか?」
「大蔵大臣の片岡直温が、国会答弁で『東京渡辺銀行がとうとう破綻を致しました』と言ったんだ。東京渡辺銀行は、東京屈指の大金持ちだった渡辺家が創設した銀行で、高い信用力を持っていた。ところが、大臣の国会という公の場面での発言だったから、預金の引き出しが殺到して取り付けになってしまった。でもね、この時点で、銀行は破綻していなかった。大臣の『勇み足」だったんだ。」

「なんで、そんなこと言っちゃったんですか?片岡大臣は・・・」

「実際、東京渡辺銀行の経営は悪化していて、この日も支払い資金が工面できずにいた。そこで銀行の専務が、監督官庁の大蔵省に駆け込んで、『助けてください』と懇願したんだ。ところが、大蔵省のお役人は突き放した。」
「しかたなく、専務は再び必死に金策に走る。一方、大蔵省の役人は、国会にいた片岡大臣に、東京渡辺銀行が支払い不能になっているというメモを差し入れたんだ。」
「その後、金策に走っていた専務は、支払い資金の確保に成功する。「破綻を免れました、もう大丈夫です」と、大蔵省に電話で報告したんだけど、電話を受けた役人が上司に伝えず、結果的に大臣の耳に入らなかった。そして、大臣はメモの通り『破綻しました』と言っちゃったわけだな。」

「ひどい話ですよね・・。確認しないで、こんな大事なことをしゃべっちゃうなんて。」

「ホントにひどい話だ。東京渡辺銀行は取り付けで経営破綻、つまり『バンザイ』しちゃった。でも銀行の専務は、『失言がなくてもバンくらいまでにはなっていたけど、失言があってザイになってしまった』といっている。片岡大臣の不用意なひと言が、取り付けを引き起こし、しなくてもよいバンザイをさせちゃったんだ。そして、これを契機に日本各地の銀行に取り付けの連鎖が起こり、銀行がバタバタ倒れて、経済に深刻なダメージを与えたんだ。」

「片岡大臣は、謝ったんですか?」
「とんでもない。俺は聞いていなかったから悪くない。悪いのは銀行と大蔵省の役人で、俺はメモを読み上げただけだってね。」


片岡直温大臣 ウィキペディアより

 ネットで片岡大臣の写真を見つけた。なるほどって感じね。威張ってたんだろうな。

「発言は慎重にしないと、大変なことになる。未確認情報は、絶対に発信してはダメだ。もし、正しい情報だとしても、パニックを引き起こすことがあるので、慎重に扱わなくてはいけない。これは我々の番組でも同じ事。十分に注意してね・・・。」

 ホント、怖いよね。
 経済音痴の私が、そんな大事な役割を任されているなんて・・。
 だんだん怖くなってきた・・・。
 私には荷が重い。
 早くバラエティ番組に行かせて欲しい。
 誰か、助けて!


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