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GDPのお勉強中 ①        (愚痴日記#25)

 5月17日午前9時過ぎ、スマホのアラートが鳴った。

「1~3月期 GDP速報:前期比+0.4%(年率+1.6%)3四半期ぶりプラス成長」

 経済ニュースに敏感になれっていう先輩キャスターMの言いつけで、興味ないけど速報アラームをセットしたんだ。
 GDPはさすがに知っているよ、「国内総生産」だってことは。
 いわゆる「経済成長率」で、これがプラスということは、生産活動が活発になってる、つまり景気がよくなっているってことだよね。

 スタッフルームにつくと、早速Mが、GDPを伝える記事を持ってきた。私も番組で読むことになるんだろうなあ。
「内閣府が17日発表した2023年1〜3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比0.4%増、年率換算で1.6%増だった。プラス成長は3四半期ぶり。内訳は、個人消費は前期比0・6%増。設備投資も0・9%増とプラス成長に寄与した。一方、海外経済の減速を背景に輸出は4・2%減少。輸入は2・3%減だった。公共投資は2.4%増で、4四半期連続のプラスとなった。

 ちゃんと理解しておくようにといって、Mはスタッフルームを出て行く。
 う~ん、分からない。情報量が多すぎる。
 すると、また、プロデューサーSが助け船を出してくれた。

「GDPが分からないのかな?
 小さく頷く私。
 するとSは、GDPはとても簡単なデータだというんだ。

「GDPだけど、旅客機の高度だと考えるといい。」
「旅客機の高度ですか?」
「そうだ。日本経済という巨大な旅客機をイメージするんだ。飛行を支えているのが経済活動で、その合計がGDPなんだよ。」
「今回発表された1~3月期の実数は、548兆9675億円だった。これだけの金額の生産が行われた、つまり旅客機の高度なんだ。そして、その前の期、つまり去年の10~12月期は546兆8141億円だった。つまり、日本経済という旅客機の高度が、2兆1534億円だけ上昇したと考えることができるというわけだね。」
「桁が大きすぎて、ピンときません。」
「そうだよね。だから変化率で示されるんだ。2つの数字を割り算すると0.393%。つまり0.4%ほど経済活動が拡大したことがわかる。それだけ飛行機が上昇したというわけだね。」
「記事にある年率換算というのは、何なんですか?」
「年率換算というのは、この上昇が1年間続いたと仮定した場合の数字だ。今回のデータは3ヶ月分だから、これが1年間続くとすると4倍になる。だから、年率換算で+1.6%になっているんだね。」

「プラス成長が3期ぶりということは、それまでは高度が下がっていたわけですか?」
「そうだ。日本経済という旅客機は、実に冴えない飛行を続けてきた。去年の1~3月期は-0.5%と低下、4~6月期は+1.1%と上昇に転じたけど、後再び失速して7~9月、10~12月期ともに、わずかだけどマイナス成長と、高度が下がってしまったんだ。そして今回、ようやく上昇に転じたというワケだね。」

「イライラする飛行状況ですよね。」
「ホントにそうだね。一方で、アメリカは3%程度のプラス成長を続けている。ぐんぐんと高度を上げているアメリカ、低空飛行が続く日本。その差は歴然というわけだ。」

「どうすればいいんですか?」
 うっかり聞いてしまった。また、講義が長引く恐れが・・・。
「それを知るには、さらに詳しくGDPを見る必要がある。」
 もうダメだ。講義延長が確定だ・・・と思ったら、
「さっき、君がMから渡されたニュースの後半部分に、それが書かれている。でも、もう、キャパオーバーだろう。今日はここまでにして、改めて詳しく教えてあげる。」

よかった・・・。
今日のところはこれで解放ね。
でも、GDPを旅客機の高度と考えたことで、イメージはつかめた。
ちょっとずつ、成長していない?私って。


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