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ばかまじめな貴方達に幸あれ ~cnannを聴き終えて~

どうも。三度の飯よりフライドチキンです。

先週最終回を迎えた、「Creepy Nutsのオールナイトニッポン」の感想です。
本当ならもっと早く書くつもりだったのですが、仕事周りがバタバタしていて旬を逃してしまったような時期になってしまいました。

最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

聴き始めたきっかけ

僕が「Creepy Nutsのオールナイトニッポン0」に出会ったのは、Spotifyで配信されていたポッドキャストがきっかけでした。Spotifyで知って、次にradikoで完全版を聴けるということを知って、という形です。

初めて聴いた回を正確に覚えてる訳では無いのですが、おそらくKEN THE 390さんがゲスト出演する直前の回で、「あまりにもKEN THE 390さんのチ〇コがデカすぎて、街に影が落ちた」とか話していた気がします。

ただ、肝心のKEN THE 390さんが登場した回そのものは聞くことが出来なかったのが心残りでした…

なぜ聴けなかったのかというと、この時のポッドキャスト版は、ゲスト回は基本的にオープニングトークやゲスト不在パートのみを配信する形式だったからです。
ただ、オールナイトニッポン0のパーソナリティの乱入は配信されていたので、伝説の「ウイカ、俺止まんねぇよ?」は聴くことができました。

なので、ポッドキャスト版では聴けない部分があるということを痛感し、radikoでタイムフリーを聴くことになりました。

タイムフリーを聴き出してから名物コーナーの「大江戸シーラン」にも出会い、より「Creepy Nutsのオールナイトニッポン0」にもどっぷりハマり、いつの間にか1週間の楽しみになっていました。

大小様々な知識をくれた「HIPHOPニュース」

僕が「0」時代で1番好きだったのは、オープニングトークの中で披露される「HIPHOPニュース」でした。

国内外問わず、ヒップホッパー達の進退に関わるほどの大きな話題から、特に知る必要も無いぐらいたわいも無いことまで、色んなニュースを届けてくれたこのコーナーは、HIPHOPを知らない僕にとって、色んなヒップホッパーを知るにはうってつけのコーナーでした。

とはいえそんなに覚えてるニュースは少ないのですが、それでもリル・ウージー・バートの高級石埋め込み騒動は鮮明に記憶が残っています。
その後、埋めたところから血が流れたり、飛び込み中に石が行方不明になったり、最終的に摘出するに至るまでの間、色んな笑いを届けてくれました。

今後彼の曲を聴いても、「この人石埋めてたんだよなぁ」としか思えないぐらい、HIPHOPニュースに色んな知識をいただきました。

1部に昇格してからは、オープニングトークに世間話をすることが増え、HIPHOPニュースをやる機会は格段に減ってしまったのが少し残念でした。
やっぱり、ニュースが過激なネタになりがちだから、深い深い時間じゃないと難しかったんでしょうかね。

テーマ無し、流れで神回を生むアドリブ力

このラジオで感じたのは、とにかくRさんと松永さんの2人で勝手に妄想や言い争いが進んでいき、時にコーナーすらも潰して特別企画回になるまでに発展する脅威的なアドリブ力でした。

特に印象的なのは、「GReeeeNもグリーン・デイも大して知らない」という話題から発展して生まれた「クイズ GReeeeN or グリーン・デイ」の回です。
最初はとても偏った音楽生活を送っている2人じゃないと成立しないぐらい簡単な問題だったのですが、次第にスタッフ対Creepy Nuts&リスナーの構図が出来上がっていき、番組が終わる頃には、それなりにGReeeeNの曲を聞いてきた僕も迷ってしまうほどの難問ラッシュで、とても興奮した思い出があります。

その他にも、「闇マック」や「ディギモン」などの名エピソードが続々と誕生していき、もはやアーティストの域に留まらないといえるトーク力を見せつけられました。

厳しい上下関係をも破壊する悪ノリ

この番組を語る上で個人的に欠かせないのが、HIPHOPの硬い上下関係を無視した悪ノリです。

以前、この番組を聴く前に、Creepy Nutsの2人が「激レアさんを連れてきた。」のDOTAMAさん回に出演しているのを見たのですが、そこでまぁまぁキツイ弄りを次々に繰り出していく弘中アナに対し、2人は「そんな軽々しくいじっていいもんじゃないから」と笑いながら言っていました。僕は確かにその発言を聴きました。

しかし、ラジオを聴いてみると、「KEN THE 390のチ〇コ伝説」「RHYMESTERを題材にした朝ドラで、宇多丸にランドセルを背負わせて小学生役をやらせる」「ジブジブパニック」など、上下関係が全く感じられない先輩イジリの数々。

特にゲスト回直前は、リスナーの悪いリアクションメールも後押しし、本人が予習で聴いているかもしれないということを考えないままイジリ続ける、笑いと冷や汗が止まらない回が多かった印象があります。

そして、Creepy Nutsより先輩のゲストには弄る気満々で準備するくせに、後輩のBAD HOPが来る直前には川崎のヤンキーというだけで怖気づき、当日に松永さんが敬語を使いまくってしまうという逆転現象が発生。
勝手にどんどん追い込まれていく松永さんの姿に爆笑していました。

1部というスポットライトを浴びる決意

そして、2022年3月8日、記念すべき200回目の放送。

月曜1部へ昇格し、「Creepy Nutsのオールナイトニッポン」がスタートすることが発表されました。

この回の興奮は、今でも鮮明に覚えています。

発表の直後、立ち上がってハイタッチをするCreepy Nutsと作家の福田さんの3人。
そして、高らかに流れる「スポットライト」。

1部への昇格を前にして、自らの存在を誇示する一方で、この先降格か終了しかない状況に移り変わることに対する恐れ。それを振り払いNO.1プレイヤーになる決意を固めた二人の意志が歌詞にリンクし、涙を流さずにはいられませんでした。

そして、何より感動したのがお互いが相方だけでなく、福田さんとも相方の如く喜びを分かちあったことでした。
パーソナリティではなくても、カンペを通して数々の名言を番組に刻んだ放送作家として素直に称え、かけがえの仲間として2人が大切にしているのがよく伝わってきました。

その瞬間が今回のサムネイルにもなっている画像です。この写真は、Creepy Nutsのオールナイトニッポン全体の中でも特に印象深く感動的な写真でお気に入りです。

喜びに満ち溢れた200回放送の後、オールナイトニッポンを去る菅田将暉さんとのバトンタッチを終え、今まであさぼらけの冒頭でリアクションを取り続けて見守ってくれていた上柳さんとの繋がりを「クイズあさぼらけ」で再確認し、直接の前後番組の関係としての別れを告げ、彼らは月曜の1時へと枠を移動しました。

テレビスター、ラジオスター、それでもやっぱりHIPHOPスター。

月曜1部に枠を移動してからも、安定した面白さの放送が続き、菅田さんと同様に何年も続いていく番組になるんだろうと思った矢先、番組の終了が発表されました。

理由は、音楽活動への専念でした。菅田さんやYOASOBIも同様の理由で番組が終わっていったことも重なり、やはりスケジュールが詰まっているタレントにとって、深夜の生放送は体力を削る行為なのだと、とても考えさせられました。

そして、松永さんはテレビの仕事も徐々にセーブしていき、本当に音楽活動一筋にしていくという決意を感じました。

ただ、終了を発表してから3月末までの間、僕は彼らが愛されている証拠を何度も目にしました。

オークラさんが武道館公演終盤の台本をラジオの舞台から降りていく2人に合わせた内容に急遽書き換えたり、佐久間さんが舞台ということを忘れて、「寂しい」「お前らのラジオが好きだった」と思わず本音をこぼしたり、三四郎が愛ある弄りをし続けた挙句にゲストに呼んだり、フワちゃんが帰宅する直前の2人を呼び止め、お揃いのTシャツを着て写真を撮ったり、1年前に送られる立場だった菅田さんが、今度は送る立場として再登場したり。

彼らに愛がなければできないであろう様々な取り組みを、多くの人が自らの意思でやっているのを目にし、耳にし、肌で感じました。
そして、彼らがまたラジオやテレビに出たいと思った時、きっとこの人たちが音楽の世界からまた2人を引きずり出してくれるに違いないと確信しました。

そして迎えた最終回は、まさに平常運転の極みでした。

いつものようにくだらない話から始まり、みんなで「エモ」を模索して、変態リスナーが「エモ」をオカズにし、大江戸シーランやギャルオブザデッドを終え、結局最終回らしい話はほぼしないまま、いつもの締めで終わっていきました。

あくまで憶測にすぎませんが、それこそが彼らなりの僕たちリスナーに対する気遣いだったのかなとも考えてしまいます。

松永さんは「オードリーのオールナイトニッポン」、Rさんは「山里亮太の不毛な議論」のヘビーリスナーだと公言するほどのラジオ好きです。
その2つの番組こそ終わってはいないものの、長くラジオを聴く中で、好きだった番組が終わってしまうという経験もしてきたんでしょう。

だから、同じような寂しさを僕たちに味わって欲しくなくて、最終回っぽいことは何もしないで、暗に「またラジオやるよ」と伝えるような、くりぃむしちゅーの有田さんの提唱する「留守番にしてるだけで最終回はやってないから」理論で番組を終えてくれたのかなと。

だから、寂しさというようなものは全くなく、むしろ来週も楽しみだといつものように感じてしまうほどでした。

でも、radikoの番組表に彼らの名前は無く、番宣も流れることも無く、radikoのマイリストには「通知する番組が放送されない」ことを示すビックリマークがついているのを見て、現実に引き戻されるのでした。

HIPHOPへの偏見を覆すという大きな役目

僕が、Creepy Nutsのオールナイトニッポンを聴いていて、2人に感じたことが2つあります。

1つ目は、彼らは本当にHIPHOPが大好きで、色んな偏見を覆して世間にどんどん受け入れて貰えることを願って生放送に挑んでいたんだろうなということ。

Creepy Nutsを始め、呂布カルマさんや梅田サイファーなど、ヒップホッパーがお茶の間に触れる目は以前より格段に増えたとは思いますが、それでも世間の中には「ヒップホッパーはヤンキー気質で危ない人達」だとか、「ラップで人をディスる、言い争っているイメージ」といった偏見を持ち続けている人も多いと思います。
僕もCreepy Nutsに出会うまではそのうちの一人でした。

そういうこともあってか、2人は積極的に、敢えてヒップホッパーのダサいところや抜けているところをエピソードトークとして話し、「ヒップホッパーもラップが好きなだけで、性格や考え方などは普通の人と同じ」ということを伝えているように感じました。

般若さんが自宅にRさんを誘って、2人で般若さんの子供の幼稚園にお迎えに行って、家族団らんの場にRさんも混ざって晩御飯を囲んだ話。
梅田サイファーがパフォーマンスをしたステージで、一緒にパフォーマンスしている子供の親が、ちゃんと子供を見れるように立ち位置を変えた話。
呂布カルマさんが女子校生ラッパーを下ネタ方面だディスったら、それ以上の攻撃力の下ネタディスりで返されて半年間ガチで落ち込んだ話。

どれも「フリースタイルダンジョン」で戦っている姿とは良い意味でかけ離れていて、ステージの上ではぶつかり合っていても、その人自体は優しく人情に溢れていて、寧ろ、人間関係を希薄にしがちな僕のような人間にとって、見習う部分があるとすら考えました。

Creepy Nutsだけでなく、宇多丸さんや様々なヒップホッパーがパフォーマンス上で邪魔になるかもしれないありのままの姿をさらけ出してくれたからこそ、尖りまくっているヒップホッパーのイメージを覆し、ギャップとしての魅力を生み、お茶の間で見る機会が増え、HIPHOPそのものも世間一般にあるコンテンツとして浸透していってるんだろうと感じます。

その中でも、Creepy Nutsのオールナイトニッポンは大きな役割を任され、そして果たしたと思うし、僕個人としても、偏見を覆して趣味の幅を広げるきっかけをくれたことに感謝しかありません。

ばかまじめに前しか向けない、そんな何かがたりないふたり

Rさんは、一度リリック制作に取り掛かると、寝食を忘れて3日連続で作業し続けることが出来る一方で、シャワーを浴びる、部屋に入るなど、些細な行動であっても自分の納得がいくまで何度も何度も繰り返してしまう欠点を持っています。

松永さんは、本当にDJが大好きで、地球最後の日が訪れたとしたらという質問に、最後の瞬間までターンテーブルを弄りたいと答えるほどにDJにひたむきな一方で、押し花を買い集めては捨て、一定のファッションを毎日続けては飽きた瞬間に服を全て処分し、音質にこだわるあまりに何万もするUSBケーブルを買い集めて、上限額まで何枚もクレジットカードを使ってしまうなどの欠点を持っています。

これらを全てまとめて一言で言うと、1つの物事に全身全霊で集中できるし、こだわりが強すぎて1つの物事に過剰に入れこみすぎて身を滅ぼしてしまう、良くも悪くもひたむき過ぎる性格。

そして、その性格は今までのメディア活動でも体現していました。

Rさんも松永さんも番組内で悪態をついたり、遅刻もするし失言もするし炎上もするけど、中身は本当にいい人たちなので、スタッフや共演者、何よりファンから求められたことに全力で応えようとしていました。

以前、宇多丸さんのアフター6ジャンクションの配信コンテンツで、「コンプラタイムコップ」というCreepy Nutsとのコラボ企画があったのですが、その中で仕事への姿勢について問われた松永さんが、「せっかくマネージャーや周りの人が汗水流して取ってきてくれた仕事なんだから、断ることを前提に考えることはしないし、やれることなら全部やりたい」という旨の発言をしていたのを覚えています。

まさに2人はその宣言通りに仕事をしてきたんだと思いますが、徐々に限界を感じ、本業であるはずの音楽活動が疎かになっている、あるいは体力的にも精神的にも集中出来ていないと考え、その中で下した決断が、音楽活動に専念し、テレビやラジオでの仕事を減らすというものだったのでしょう。

つまり、「ひたむきに取り組むたった一つの行動」を、「求められた仕事に全力で応え続ける」という広範囲なものから、シンプルな「音楽活動」にしただけ、とも言えるわけです。

言い方がキツくなるかもしれませんが、本当に器用そうに見えて不器用な人なんだなと思いました。

まさに、「ばかまじめ」

でも、何事にも全力で取り組み続けてくれたからこそ、ラジオは何年も続く人気番組になったし、我々も彼らを好きになったんだなとも思います。

だから、ラジオが無くなったとしても、僕は不器用ながらに1つのことにただひたむきに取り組む2人のことを応援し続けます。

もし今後、彼らが少しは器用になって、1つのことにだけじゃなく、色んなことに時には力を抜きながら取り組めるようになった時か、また「色んなことに全力で取り組むこと」をひたすらに頑張ることとして決めた時か、ひょっとするとどちらでもなく本当に軽い気持ちでラジオに帰ってきた時かは分かりませんが、Creepy Nutsがラジオから声を聴かせてくれる時を心待ちにしながら。

たぶん、1番早くて新アルバムのラジオ盤か、三四郎の年越しスベシャルの電話かとは思うんですが。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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