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連載8:「自由設計」でコストがどんどん膨らんで⋯

この連載は、過去全国で起こっている失敗事例をもとに、これから住宅を買う人に向けて「知っておいて頂きたい、考えて頂きたい」知識や必要事項をまとめましたものです。沼津省エネ健康住宅では、ここに書いてあるようなことは決して起こりませんので、ご安心ください。それでは、本記事をお読み下さい。

「自由設計」思うままに設計できて、長い間思い描いていた夢の家ができる。自由設計という言葉に、希望がふくらみ、住宅会社に次々と要望を出していきたくなります。しかし、住宅会社の言われるままに自由に設計をしていくと、予想以上のコストアップという結果になってしまいます。

 家づくりをしていく中で費用が多くかかるのが、内装材より、外装材と言われています。つまり、外壁や屋根材、基礎のコンクリートなどの費用です。思うままに間取りを設計し、間取りが複雑になればなるほど、外装材の費用がかかり、コストアップするのです。コストを押し上げるのは、ふたつの要因があります。

 ひとつは、複雑な家のほうが、材料費がかさむということ。もうひとつは、複雑な家のほうが大工さんの手間がかかるということです。

 例えば、外壁のことを考えてみましょう。仮に64m(19坪)の平屋を建築したとします。同じ64mでも、8m×8mの家と、5mx12.8mの家では、外装材にかかる費用はまったく異なります。前者の家は、8m×4=32m分ですが、後者の家は、外壁が12.8m×2+5mx2=35.6m分必要になります。つまり、後者のほうが1割も多く外壁材が必要になるのです。こういった材料費は、外壁材ばかりでなく、基礎コンクリート、雨どいなどにも反映するので、家一軒のコストを大きく押し上げるのです。

 この例は、正方形から長方形になっただけなので、比較的差はないですが、家に凹凸ができるほど、材料費はかさんできます。凹凸のある家を作ることで使い勝手がよくなったり、素晴らしいデザインになったりして、満足がいくということであれば、コストアップも苦にはならないかもしれません。しかし、多くの場合は、使い勝手がよくなるわけではなく、家を作る側の自己満足で終わることがほとんどです。むしろ、家の形が複雑になって強度が低下したり、雨漏りがしたりするなどの弊害が出てこないとも限りません。また、シンプルな家より複雑な家のほうが手間がかかるのは、当然のことです。手間がかかるということは、多くの時間がかかります。とはいっても、特別よいものができるとは限りません。かつては、大工さんも複雑な家がどれだけ作れるかによって技術力を競うところがありました。

 しかし、住む側にとっては、使い勝手のよい家がいちばんです。家づくりでもっともコストがかかるのが大工工事です。大工さんの手間賃、材木費など、複雑な家では、シンプルな家の倍かかると考えておくとよいでしょう。お金を倍出したから、住みやすい家ができるとは限らないことを覚えておきましょう。シンプルな家凸凹の多い複雑な家はたして、お金と時間をかけただけの価値があるのか?

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