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嵐の夜に

「で?それ渡すの?」

ドラゴンエンパイア首都、龍帝の居城で

龍帝に対等な口を利ける数少ない人物、シラユキは問いかけた

「あぁ」と

壮年の人影は答えた

「こんな事は、お前にしか言えないがな」

「ワシは老いた。かつての名声に従ってくれる者達がいるから龍帝などをしていられるが」

「兵達が忠誠心を失えば、この国はすぐにでも別の誰かの国になる」

龍帝はそう言うと、『皇帝のような』立派な甲冑を大切そうに眺めた

聖域の君主は『自らを永遠に聖域の礎とする』者にのみ纏う事を許される聖域の武装、モナークサンクチュアリまで今回の戦線に投入しているのだ

この特注の甲冑も、そろそろ出番が来るだろう

試練を乗り越えたドラゴンエンパイアの「勇気ある者」にこそ、この鎧は

「ふーん」

千載一遇のクーデターのチャンスに、全く興味を示さないシラユキ

お山の大将以上の責任を負うのを面倒くさがる彼女だからこそ、龍帝は機密情報をも打ち明けるのだ

「数万年に一度の奇跡、『彼』がそれに値するか、自ずと答えは出よう」

外の世界では暗い雨が降る中、2つの終末兵器が決戦を繰り広げていた

人造の悪魔、星輝兵Ωグレンディオス

そして、虚無すら己が力とした赤き暴竜、ドラゴニックオーバーロード"The Яe-birth"

勇気の剣を失った世界が、その行く末を決める最終決戦を固唾を飲んで見守っていた

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