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夜の闇の中で

『里内に現れた侵入者の捕縛・あるいは討伐』

クジキリコンゴウは夜間の任務を受けた

黒騎士の侵入者があったものの
積極的に破壊活動を行っておらず

聞いたこともないような国の名前を敵対者として挙げている

その騎士団とは『ユナイテッドサンクチュアリに住むロイヤルパラディン』ではないらしい

「レヴォルドレス……」

「(……来る!)」

「反抗黎騎 紅蓮(レヴォルフォーム・ゼスト)!!!」

黒騎士お得意の一時的なパワーアップだ

変身先に名称があるという事はバリエーションがあってもおかしくないが、

彼はこの紅蓮(ゼスト)しか使ってこない

敵地のど真ん中で技をパターン化するメリットはない

おそらく他の強化形態を使えない事情がある

プロトタイプと言っていたが、それが原因だろうか

「臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・在・前!!九字切り刀身の術!!!」

紅と銀の剣戟

鈍い金属音が幾度も夜の闇に響く

『一切の妖魔』を切り捨てる九字切りの陣ならば、異界の魔道具にも通用しよう

「暗黒魔術による刀身への魔法耐性付与か!ケテルギアの悪徳貴族め……!」

クジキリコンゴウは金剛一族の一員である為に、一般的なぬばたまの忍より多少身分は高いが

彼の敵視するケテルギアという地域の住民ではない

口ぶりから察するに、この男の纏う黎騎という武装には、失われた技術(ロストテクノロジー)である「時空を越える力」が宿っているようだ

おそらく、その力がギアクロニクルの様々な歴史に対して開いたゲートに干渉し、

事故のような超越現象として彼が『3000年前の惑星クレイ』に降り立ってしまったのだろう

「お前も薄々気づいているだろう」

「此処は『サンクチュアリ』ではない」

「……!!」

触れる事も許されぬ禁術である支配の邪眼ほど
強力な術ではないが

「『呪魂術』……!!」

一部が禁術に指定される、危険な術だ
黒騎士1人を眠らせる事くらいはできる

「……カシュテリアに連絡だな」

ギアクロニクルの盾持ちは、クロノジェット隊の護衛アルリムと決まっている

万能の盾持ちを目指したが、ネームバリューの壁によって一番になれないカシュテリアも中々の苦労人で

人材として応用が効くため戦闘以外にこなす役割も多い
その1つが惑星クレイ原住民との連携だ

若き忍はシラヌイ派ばかりではない

異世界の放浪者ギアクロニクルの中でも、似た境遇のカシュテリアとは話しやすいため、超越現象関連の頼み事をする機会が多いのだ

「侵入者は超越による事故で呼び出された召喚体『3000年後の惑星クレイ』から迷い込んだ
装備に不備のある革命家である」

報告書の内容は決まったのであった

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