【久々に格闘ゲーム話】ストリートファイターⅢについて、やっと纏まった事

このゲーム、好きなんだけど好きじゃない。
というか全く上手くなり方が分からなかったという、自分の中の変な場所にあったんですよね。

概念的に「これは何なんだろう?」とずっと理解出来なかったくせに、定期的にやってみたくなり、またよく分からないまま離れるを繰り返してました。

随分と後になって2D版バーチャという表現を見つけて、「あー僕が思ってたのは、これか!」と納得したのを覚えています。

要はやってて2D格闘なのか3D格闘なのかが判断出来なくなってたんですよね。

2Dと3Dの違いは格闘ゲームにおいては思考のロジックがまるで変わります。
3D格闘の見た目で当たる、当たらないが分かる感覚は、ストⅢでは通用しません。

代表的システムのブロッキングを使うには当たるという判断が必要なんですが、ここにあるのは2D格闘の当たり判定であり、グラフィックそのままでは無いのです。

バーチャ2をやり込んでた僕には、ここいら辺でどう考えたら良いのかが混乱してたんですよね。

昔からひとつの事に慣れると応用が効かなくなる、不器用さんを最大に発揮した訳です(笑)

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ストⅢはバーチャキャラが2Dキャラに会う話だ!

普通に格闘技の強い人物が世界に強者を求め旅立ってみたら、異種格闘技体験が出来た。

更に高みをと旅を続けてみたら、今度は気の力で手から弾を打つちょっと奇妙な格闘家に出会う様になった。

世界は広いなぁーとワクワクしていたら、太古から世界を牛耳るという謎の組織が出てくる。

古代ローマさながら肉体を曝け出し打つけるスタイルに驚いていたら、気を使うなんてもんじゃなく!神の力だと宣う技を見せつけられる。

まあ、こう考えると自分的にはチョー納得出来たんですよね。

当時見たストⅢというシリーズ作品は、その作品自体の存在がかなり不可思議に見えました。

確実にストⅡの世界観よりリアリティが強く、その上で3Dリアルテイスト格闘とも違う。

コマンドは入力しても、圧倒的に格闘技の技が出る。
出るのだがバーチャとは違い、2D格闘ゲームのロジックで成立する。

これは当たり判定や攻撃判定の部分ですね。

だからこそ「これは何なんだろう?」という感覚が強かったんだと思います。

やってる事はかなり3D格闘に近いのに、確実に2D格闘だったのですから。

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ブロッキングの格闘感と96の京の見た目に勘違いしていた本当の2Dから3Dへ殴り掛かる挑戦。

これか何度も引き戻りたくなった、自分にとっての理由だったんだと思います。

ストⅢのメインシステムであるブロッキングは、操作としては相手キャラの攻撃に対してレバーを前に入れるというものになります。

2D格闘ゲームはレバーを後ろに入れる事でガードをし、相手の攻撃から身を守ります。
レバーを前に入れるというのは、失敗すれば攻撃を受けるという事です。

これは現実の格闘技で相手の動きに合わせて一歩前に出る感覚であり、格闘ゲームにおける当て身という技の系統とは違う捌くという行為に繋がります。

そして捌く事によって最大の攻撃チャンスを得ます。
これは本当にリアルだなあと思いました。

このシステムが2D格闘にある事に躊躇いもしました。
どう考えても当時流行りの3D格闘にありそうなものに感じたものです。

ただ全般的に飛び道具を持たないキャラクターが多い為に非常に自然でもありました。

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97年に稼働したストⅢの前にKOF96という2D格闘ゲームがありました。

このゲームの主人公•草薙京は、前作KOF95から大幅に必殺技が変わりました。

95までは飛び道具で飛ばし対空技で落とすスタンダードな主人公キャラクターだったのが、96からはコマンド入力により様々に派生する殴る技になったのです。

コマンドにより殴るコンボを選択し、その派生をどこまでにするか、どのルートを選択するか。
これは僕には感覚では3D格闘的だったのです。

本質的に2D格闘が好きだったんだなぁと今自分が思い至った理由は、この2D格闘に3D格闘の要素を取り入れる行為に大変感動したからです。

SNKというメーカーはライン移動などを取り入れて、まだ3Dという立体のイメージが無い頃からリアリティの再現に挑戦していた印象がありました。

そういうメーカーからしたら、「2D格闘は終わった!これからは3D格闘じゃないといけない!」なんて当時の雰囲気は気に入らなかったのかもしれませんね。

殴り掛かる草薙京は2D格闘の反逆の狼煙に見えたものです。

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しかし、、翌年のこのブロッキングというシステムはあまりにもリアルを持っていた。

殴るという見た目に分かりやすい行動ではありませんが、3D格闘に求められている駆け引きの要素を、派手で空想の世界観を前提に構築された作品世界に存在させる事に成功したのです。

キャラクターの身長を遥かに超えてジャンプしたり、飛び道具を打つ事が当たり前にあるのが2D格闘。

その中に飛び道具を持たない新キャラクター達が参入し、2D格闘らしいキャラクターたちに出会い競っていく。

その新キャラクターたちには3D格闘の様なシステムが最大の武器となりました。

本質的に3D格闘キャラクターを2D格闘に存在させたといえる気がしています。

ここに本当に2D格闘が3D格闘に殴り掛かる行為が成立したのではないか。

これが2D版バーチャと言われる所以であり、2.5D格闘ゲームという作品に仕上がった理由なんでしょうね。

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相変わらず全く上手くはないのですが、たまにアーケードで見かけるとついプレイしてしまいます。

ストリートファイターというブランドシリーズとしても異質になっている、このストリートファイターⅢ。

ストリートファイターは毎回システムを一新します。
だからこそ存在するひとつの可能性の作品。

このストⅢのキャラを後のシリーズに出す為にも、新しい演出が必要になる問題児たちです。

ですが確実に生きている。
今やキャラクターは3Dグラフィックになった2D格闘ゲームですが、メインストリームにあるのは2D格闘だと思っています。

あの絶滅の危機でもエッセンスを取り込み、挑戦を諦めなかった姿が今を呼んだ気がしています。

時代の狭間にあるストⅢ、
今でも好き嫌いが分かれ、
ブロッキングの罪悪も語られます。
ストⅢプレイヤーはストシリーズのプレイヤーとは違うという意見もあります。

ですが、このストⅢがあったからこそ、
今もストリートファイターが生きている。

個人的にそんな風に思うのです。
この先も忘れられない魅力を持って残る事でしょう。


マブ


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