見出し画像

映画紹介[トリコロール3部作]

はじめに

フランスでは1993年9月8日に公開された、クシシュトフ・キェシロフスキー監督による映画です。
1993年9月の第50回ヴェネツィア国際映画祭では、最高賞である金獅子賞のほか女優賞(ジュリエット・ビノシュ)と撮影賞を受賞した。
第19回(1993年度)セザール賞では主演女優(ジュリエット・ビノシュ)・音楽・編集の3部門を受賞しました。
又、第51回(1993年度)ゴールデングローブ賞では、主演女優賞・作曲賞・外国語映画賞にノミネートされました。
「トリコロール」3部作は、それぞれの作品が「自由(青)・平等(白)・博愛(赤)」を象徴しております。


【トリコロール/青の愛】自由(Trois Couleurs: Bleu)(94分)

キャスト
·        ジュリー : ジュリエット・ビノッシュ 
·        オリヴィエ : ブノワ・レジャン
·        ジャーナリスト : エレーヌ・ヴァンサン

楽譜を見るジュリーとオリヴィエ

《ストーリー》

高名な作曲家の夫と幼い娘を交通事故で亡くし、自らも重傷を負ったジュリーは退院後、郊外の家と家財道具一式、さらには夫が遺した未完の楽譜も処分してしまう。

ある夜ジュリーは亡夫の同僚で、彼女に想いを寄せていたオリヴィエを呼び出し一夜だけ愛し合った後、パリへと去る。

久々の一人暮らしの中で出会う様々な人間模様。
しかし静かな日々の中でも、夫が未完のまま遺した欧州統合のための協奏曲の旋律が、どうしてもジュリーの脳裏に蘇ってしまう。

そんなある日、処分したはずの夫の未完の楽譜の写しをオリヴィエが持っており、彼がその協奏曲を完成させようとしているのを知る。

そして、夫が見知らぬ若い女性と共に写っている写真の存在も知り...。
未完の協奏曲を完成させるべくオリヴィエに協力を仰ぐ。

[コリント信徒への手紙]
エンディングテーマの協奏曲の中の合唱曲、歌詞は新約聖書の[コリント信徒への手紙]第13章からの引用です。印象的な旋律が耳に余韻をもたらします。

1.例え人々や天使たちの異言を語ろうとも、愛がなければ私は騒がしい鐘や騒がしい応鉢と同じであろう。
 
2.例え私が預言する力を持ち、あらゆる奥義とあらゆる知識に通じていようとも、また山をも動かすほどの強い信仰があろうとも、愛がなければ無に等しい。
 
3.また、私の全財産を貧しい人々のため施そうとも、又、我が身を死に引き渡そうとも、愛がなければ私には無益である。
 
4.愛は寛容であり愛は情け深く愛は妬まず愛は高ぶらず奢らない。
 
5.礼を失せず、私利を求めず、苛立たず、恨みを抱かない。
 
6.不義を喜ばず、真実を喜ぶ。 
 
7.全てを忍び、信じ、望み、耐える。
 
8.愛は決して滅びない。預言は廃れ、異言はやみ、知識は廃れよう、 
 
9.私たちの知識は一部分、預言も一部分に過ぎない。 
 
10.完全なものが来たときには、部分的なものは廃れよう。
 
11.幼子だったとき、私は幼子らしく語り、感じ、考えていた。
然し、成人した今は、幼子らしさを捨てた。
 
12.私たちは、今は、鏡に映った朧げなものを見ている。だがその時には、顔と顔とを合わせて見るだろう。私の知るところは一部分にしか過ぎないが、其の時には完全に知られる如く、知るであろう。
 
13.それゆえ、信仰と、希望と、愛、この三つは、いつまでも存続する。
その中で最も大いなるものは、愛である。


【トリコロール/白の愛】平等(Trois couleurs: Blanc / Trzy kolory: Biały)(91分)

キャスト
·        カロル : ズビグニェフ・ザマホフスキー
·        ドミニク・ヴィダル : ジュリー・デルピー
·        ミコワイ : ヤヌシュ・ガヨス

ドミニクとカロル

《ストーリー》

ポーランド人理容師のカロルは、フランス人の妻・ドミニクから性的不能を理由に離婚を付きつけられ金も無くカードも無効にされトランクと共に路頭に置き去りにされた。

フランス語もろくに話せず、パリの駅で途方に暮れていたカロルは、彼を見て声を掛けてきた同郷の怪しげな男ミコワイの手引きで、何とか故郷ポーランドに帰りつく。

理髪店を営む兄のもとに身を寄せたカロルは兄の仕事を手伝いながら客も付き更に一念発起して実業家として成功する。

そのような時、ミコワイから「ある男」の暗殺依頼がはいる。
「ある男」とは...

実業家として成功して豊かな生活はしているが心には別れた妻への未練に苦しみ夢にまで見るカロル。可愛さ余って憎さ100倍の気持ちからドミニクに対して復讐を企てたが...
その企てとは...。然し、本心は...。


【トリコロール/赤の愛】博愛 (Trois Couleurs: Rouge)(96分)

キャスト
·        ヴァランティーヌ : イレーヌ・ジャコブ 
·        元判事(ヴェルヌ氏) : ジャン=ルイ・トラティニヤン 
·        オーギュスト : ジャン=ピエール・ロリ
·        カメラマン : サミュエル・ル・ビアン

判事ヴェルヌとヴァランティーヌ

《ストーリー》

ジュネーブに住む大学生ヴァランティーヌは学業の傍らモデルを仕事にして暮らしていた。

ロンドンで仕事をしている恋人とは電話でしかやり取りが出来ず常に浮気を疑われ頻繁に掛かって来る電話から彼の愛に疑問を抱き始めていた。

一方、法学生のオーギュストは司法試験に向けて勉強の日々を送っていた。
彼には年上の恋人がいた。

ある日の夕暮れ時、ヴァランティーヌは車で大型犬と接触してケガをさせてしまう。
犬の首輪についていた住所札をもとに犬の飼い主を訪ねていくが、そこに住んでいたのは近隣の電話を盗聴することが趣味の人間不信に凝り固まったような元判事だった。

彼の盗聴を「卑怯だ。可哀想な人」と憐れむヴァランティーヌ。
然し、次第に判事とヴァランティーヌは心を通わせていく。

そんなある時、判事が盗聴容疑で法廷に立った事を知ったヴァランティーヌは彼の家を訪ねます。
そして盗聴を訴えたのは、隣人の訴えではなく...
 
判事は自分が人間不信の虜になった若き日のトラウマをヴァランティーヌに告白します。(この判事の告白話は、現在の法学生オーギュストと年上の恋人との関係にダブります)
 

そして物語は「トリコロール3部作」を纏めあげる運命のクライマックスへ

フランスからイギリスへドーヴァー海峡を進んでいくフェリー...
驚くべきラストに繋がります。

ヴァランティーヌ

最近、家で映画を観ています。何時の頃からか暗い劇場とかに恐怖を感じるからです。

其れで、家で寛ぎながら購入した物や録画の映画を観ています。
所が好んで録画した映画でも目が疲れている時は途中で居眠りが出てしまいます。

この【トリコロール3部作】は、勿論、毎日一作ずつ観るのですが、眠くならないのですね。作品に惹き込まれてしまいました。
でも、人其々です「全然、面白くないじゃん」と思われる方も居られるでしょうね。

視聴してから粗筋を見るか、又は、粗筋を先に頭に置いて観られるか。
御興味を感じる方の、参考になればと投稿いたしました。


長々と、御付き合い有り難う御座いました。