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短編小説

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フィクションと空想小説を纏めています。
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短編:幻想物語「魂の真実」

✒【陽春に輝ける葉の開くさま舞鶴の如し野の草よ】 前世とか輪廻、生まれ変わりなど魂に関して様々な話が有ります。 信じる信じないは別として不思議な巡り合わせの話も多々有ります。 今回は、幕末か明治の初めを思い浮かべて、其れより500年も遡った時代の東欧辺りの地域での民族紛争や内乱、親族間の争いに翻弄されたロマの恋人達が激しく愛し合いながらも成り行きで命を奪われ世紀を越えて遠く離れた先の時代に大和の国で甦り、更に此の世で幸せを全うすること無く来世に魂を預け短い時を生きた恋人た

短編「幻想物語/水の妖精」

私の居住地、山手の住宅街から山へ海抜300mの擂鉢を伏せたような山の麓には市が整備した森林公園が広がっております。ハイキングコースに隣接した場所でも有り犬の散歩に足を延ばす人も多く樹々に囲まれた大池には時としてカワセミが見られます。 公園内には勿論、案内板も有りますが、細い脇道は 地図にも載っていなくて偶に犬の散歩序に探索する人も居るようでした。 脇道の奥から滝の流れ落ちる音が聞こえるのですが、 其のような場所を見付けた人はいませんし猪に出会い そうで奥の方へは誰も行きま

短編【Virtualを楽しむ彼女】

【男装の麗人】 私の学生時代からの親友香里は、女子校でも指折りの人気者でした。 私は、文化系。彼女は、体育会系。 彼女の部活は長身を生かしたバスケットボール部でした。 美形で気性は男性的、然し御茶や御花などを嗜んでいたせいか キビキビした身の熟し方の中に柔らかい物腰が感じられました。 一緒に歩くと150cmそこそこの私は、颯爽と歩く 香里に羨ましさを感じてしまうのでした。 未だに、背筋を伸ばして素敵に装う彼女は、友として誇らしく思えます。 其のような彼女が生きて来た中