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あがっても大丈夫なヴァイオリン奏法2

第1章
 序奏で述べたように、あがりの克服は長い道のりになります。
ただし、これを克服できない人はいません。ゲーテの格言にあるように、
克服できない人は、出来るのにやらない人だと断言できます。
 あがりの共通点は力みです。とりあえず力み、の原因を考えてみましょう。昔、チェリストのロストロポービッチが「自己愛を捨てろ」と言っていました。なるほど、人に良く見られたい、というのが力みに繋がるのだな、と思いました。しかし、人間は誰しも良く見られたいと思うのが普通です。
何年かはその助言に執着しましたが、それは諦めました。
 その後、ヘンリク・シェリングにレッスンを受けました。右手が震えるという悩みを打ち明けたところ、"Lifting elbow"と言われました。(上の写真はまさにそう言われている瞬間です)もっともな意見だと思いましたが、実際、そんな簡単なことで克服できるものではないことを悟りました。

 左手でも右手でもいいですから、親指に力を入れて下さい。
そのまま他の指の力を抜いてください。
 出来ますか?
実は、そんなことが出来たら人間ではありません。親指に力を入れたら他の指全てに力が入ります。
 あがりの克服は、ここに着目すれば良いのです。
つまり、逆に、親指の力を抜くと、全ての指の力が抜けます。
どうやら、人間の身体はそういうシステムのようです。
 簡単に言うと、左手の力が抜けたら、右手の力も抜けます。
これは断言できます。弓が震えるなら右手の矯正ではなく、左手の矯正を行う方が早いです。
 実は右手の技術の修得は左手の10倍の時間が必要です。これはウッジェーヌ・イザイが言っています。左手はヴァイリン弾き、右手は芸術家。
 次回は左手に関することからご説明します。

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