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いもうと族の疑問

 わが家には、とある予備校生ととある女子中学生という二人の兄妹が住んでいる。彼らを見ていると(noterさんたちの記事を読んでいても)、二人きょうだいと、三人きょうだいとでは、ちょっとだけ、きょうだいの関係性が違うのかな?と、思うことがある。

 ちなみに、わたしには本来、雨子さんという上の姉と、雪子さんという下の姉がいて、わたしは三番目の雲子さん。


 わが家にいる二人きょうだいが、兄と妹だからかも知れないけれど、二人の場合、それぞれの個性というか、役割というか、かなりはっきりしている気がする。

 
 とある予備校生はよくしゃべるが、とある女子中学生は無口で、話し方も言葉の間に「…………」がたくさん入る。
 とある予備校生は旅行が大好き、とある女子中学生は遠出が大嫌い。
 とある予備校生は朝ご飯はご飯派だけど、とある女子中学生はパン派。
 とある予備校生はいつも心がプカプカしているが、とある女子中学生は静かに沈殿している。
というように。
 二人とも、わたしへの自己主張は、共通してとてもはっきりしている…。

 二人につき合うお母さんは、しかたないので2倍の労力で、今ならそれぞれに別個につき合うか、まだ二人が小さくて別行動が取れず、どうしてもどちらかをどちらかに合わさせる必要があるときは、絶望的な努力をして二人をかためておかなければいけなかった、それぐらい正反対……。(協調性のないわが家だけど、まあ、大なり小なりどこでもそんなものではないでしょうか。)



 さて、三人姉妹の場合、ちょっとややこしい。
 雨子さんは赤が好き、雪子さんは黄色が好き、雲子さんは……まあ、緑にしとこう、と、ここまではいい。
 雨子さんは生き物好きで虫取り好き、雪子さんは非生物好きでレゴ好き、じゃあ雲子さんは……?
      とりあえず、遊んでくれるほうで怒らないほうと遊んどこう。
 雨子さんは感情型、雪子さんは冷静沈着型、じゃあ雲子さんは……??
                      う~ん、どう?
 雨子さんは国語好き、雪子さんは数学好き、じゃあ雲子さんは……???
                      え~…??
 雨子さんは手先が器用で職人型、雪子さんはセンスがあってデザイナー気質、じゃあ雲子さんは……????      さあ……?


 上二人は太陽と月、雨と雪で、正反対なんだけど、三番目には自分の個性というものがよく分からない。
 基本の性別・性質・指向・文化は、姉妹なので大きく違わない。となると、わたしが何をやってもたいていどちらかの姉が先にやっていることだし、年齢も姉たちのほうが一世代上なので、自分がうまく出来ている気がしない。何かが得意という気がしない。
 周回遅れで上二人についていくのがやっとで、自分を主張するのではなく、なんとか流れに沿うのがわたしに与えられた仕事。そんな感じで、ある意味小さい頃から自然に鍛えられているので、これだけは苦手、みたいなことも少なく、自分の本来の姿が分かりづらくて困る。


 いちばん割り切れないのは、悩みを口にしてしまったとき……。
 母や姉たちから見ると、わたしが悩みに陥っていても悪気じゃなく、
「ああ、そんなもんよ。あんたまだ子どもね。」
と、三番煎じにすぎないわたしの悩みはいつもつまらぬ小さなことみたいで、
「そっか、こんなことで悩むなんてわたしってばかね。」
と、自分でも思ってしまう。
(まあ、実際悩みなんてそんなものですよね。)
 と思う一方、「……でも、雨子さんの時には、おばあさんも雨子さんもすっごく、雪子さんの時にもそこそこ、騒いでたのにな~」と、思わなくもない。

 三女なら、親や姉たちにかわいがられて大事に育てられたんだろう、と思われがちだけど、そうでもないですよ。二人くらいまでなら、親も神経質に大事に育て得るのかも知れないが、それ以上だと労力に限界があって、ちょっと雑になったり……。

 昼寝から目覚めた、まだ歩けない赤ん坊の雲子ちゃんが、ちょっとだけ外出していた家族を探しに、2段ベッドの上から自力で這い降りて、玄関の前で泣いていた、とか。(トムとジェリーの電話ばっかりするベビーシッターの話の赤ちゃんみたい。)
 やっぱりまだ幼児の時、母子四人で電車の座席に座っていたら、こわそうな酔っ払った人たちにわたしが連れ去られてしまい、危うく永遠の親子別れになりそうになって、わたしがもっのすごく泣き叫んだから返してもらえたとか。
 母からお遣いを頼まれた無口過ぎる雪子さんに、いつもお店での代弁者として連れて行かれていたとか。
 雨子さんが怒るから、いろんな楽しいことを我慢したとか。
 雨子さんが生まれたときは「美人の赤ちゃんですね」と看護婦さんに言われた、雪子さんが生まれたときは「女の子らしいかわいい赤ちゃんですね」と言われた、わたしが生まれたときは「人相のいい赤ちゃんですね」と言われたという、(ん?人相がいいだけって、なんかひどくない??)という話を母から繰り返し聴かされた、とか。
 小さなかわいそうな逸話は、たくさん持っていたりする三女である。
(しかも、それを何かのたびに家族に思い出されて笑われてしまう不利な生まれ順……。)



 つくづく、世間のやさしくしっかりもののお姉さん像って、うちの実家の姉たちと違います😊。また、自然体な末っ子像も。
 2分の1以上の強大な権力を持つ二人きょうだいの妹さんと、多数派についていく以外の道のない、ほとんど権利など持ち合わせない三人姉妹の妹。姉たちは基本親切に面倒を見てくれるというより、さらっと置いていくからわたしも成長するパターン。これって、たぶん、三人だからに違いない。
 プロトタイプってあんまり当てはまらないものなのか。

 そう言えば、とある女子中学生も、「世間で思われてるようなやさしいお兄ちゃんって、ほんとにおるんかねぇ?」とよく言うが、たしかにわが一族にそういう人を見たことがない。誰か実在するやさしいお兄さんを見かけたら、とある女子中学生までご一報ください。



 四人だと、また違うんでしょうね?
 わたしのお母さん仲間・教員経験による偏見では、四番目は、そんな家族や世界を振り切ってでも、大好きな我が道を行く、愛嬌のある子が多かったですが。これこそが、世間がイメージする末っ子の王道では?

 だれか、意気投合できる三人姉妹の末っ子さんに届かないかな~、この記事。

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