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長いトンネル恐怖症

長いトンネルの運転が恐いと気づいた日

あれは34歳のとき

そこのインターから乗るのは初めてだったけど
所詮田舎の片側一車線か二車線の自動車道、なんの事もなくリラックスして、運転していた。

田舎なので、ひたすらに山間を高速が走る。
そして、山なので当然トンネルがある。

その初めて入ったトンネル、
すごくすごく、真っ直ぐだった。
本当に真っ直ぐだったわけ。

入った瞬間、「これはヤバイ」と思った。

薄暗いトンネル
吸い込まれる感覚
平衡感覚がおかしくなりそう

「ここから逃げたい」

少しでもカーブしてくれていればいいのに
とにかく真っ直ぐで
そして、めちゃめちゃ長い。
真っ直ぐのくせに長過ぎて
そして、勾配があったのだろうか
走っても走っても
出口の明かりが見える気配がない。

ミラーを見ると後続車

ここは高速道路、しかも片側一車線
遅くても時速80キロは出して走らなければならないと思うプレッシャー

今すぐ目をつぶりたい
ここから逃げ出したい
アクセルを踏むのをやめたい
でも、止まれない、出口は見えない、逃げられない

気を紛らわそうと歌を歌ってみる
…いや、全然ダメだ。

意識を散らそうと視点を違うところに向けよう
…いやいや、トンネルだし何もないやんけー!

「パニック」ってこういうことか。

後ろには、6歳の息子とそのお友達が乗っていた。2人はにぎやかにおしゃべりをしている。

事故をするわけにはいかない。
お母さん、泣き叫びたいのを
懸命に抑える。

アクセルを踏む足の力がだんだん入らなくなっていく。
でも、メーターは時速80キロのまま。
力は入ってるらしい、感覚がわからなくなっていた。

浅い呼吸、冷や汗
手足の感覚がわからない
頭がおかしくなる感覚


もはやもう意識がどっかいきそう。

長い長い時間を自分と闘って
ようやく出口が見えてきた。

これで、解放された…と思ったのも束の間

次なる「高所恐怖症」との闘いが待っていた…


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