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暗黒の現代

顕微鏡が発明され、「微生物が病気を引き起こす」ことが明らかになる以前は、天然痘やペスト、コレラなどの流行病の発生原因は「瘴気(悪い空気)」だと考えられていました。澱んだ不潔な空気の中から「病気が自然発生する」とされていたのです。

確かに、多くの病気は貧しく衛生状態の悪い地域を中心に流行したので、誰もがそう信じ込んでしまったのでしょう。また、中世の「階級意識」が、「病気は劣った下層階級で生まれる」という思い込みを強化(バイアス)しました。悪い行いに対する「神罰」のように受け止めていたのかもしれません(自己正当化)。

もちろん、いつの世にも「科学的・分析的知能」を持った人はいて、病気の広がり方などから「自然発生などではなく、発症者から別の人へと伝播しているのではないか」という「異説」を唱えました。
しかし、当時の「権威(医師、学者、公衆衛生の担当者)」などがこぞってその説をデマ扱いし、徹底的に否定したせいで、長きにわたり誤った対策が打たれ、被害を広げる結果となりました。

一例が、かの有名な「ペストマスク」です。あのとがったクチバシには、ハーブが詰め込まれていました。「空気を清浄にすれば病気にかからない」と考えられたからです。

これは19世紀の話ですが、21世紀となった今でも、構図はまるで変わっていません。

●新型コロナは人がバタバタ死んでいく恐ろしい感染症であり

●無症状者からもウィルスがまき散らされ

●防ぐには、マスク・アルコール消毒・対人距離が大事

●何より、全国民がワクチンを接種することが病気を収束させるには必須

現代の「権威」は、自信満々にそう言います。
反対意見は「デマ扱い」され、「徹底的に否定」されます。
観察されるあらゆる現象が、そうした前提にことごとく反しているのに、です。
そして、大衆は「反マスク・反ワクチン」を憎み蔑み、「神罰」が当たることを望んでいます。

これは明らかに、中世の「階級意識(差別意識)」と同じ構図です。

結果として、感染は収まらずに被害が拡大し続けている点も、「暗黒の中世」と何ら変わらず。まさしく「暗黒の現代」です。

歴史の失敗から何も学ぼうとしない人間の愚かさに、嘆息するしかありません。

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