見出し画像

「マスク効果あり」は前提誤認

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6437444

至ってまっとうな行政処分であり、何の問題もありません。
逆に、いったいどう思考過程を捻じ曲げれば、この処分を「否」と考えられるのか、私にはさっぱりわかりません。

オーサー(専門家)としてコメントしている岡秀昭医師と佐藤みのり弁護士には「科学的思考力」が欠如しているとしか思えません。

この問題の最大にして唯一の論点は、そもそも「マスクには感染予防効果があるのか」ということです。
効果があるなら、岡医師と佐藤弁護士の主張にも一理ありますが、それが間違っていたら、他者にマスク着用を迫ることは人権侵害になります。
岡医師も佐藤弁護士も、あたかも「自明」のごとく「マスクの効果」を受け入れているようですが、果たしてそうでしょうか。
「誤った前提」に基づくどんな立論にも効力はありません。

こういう問いかけをすると、マスク信者は必ず「マスク効果あり」とする研究データを持ち出してきますが、それがいかに脆弱なものかをまるで理解していません。だから、「科学的思考力が欠如している」というのです。

確かに、「マスク着用群」と「非着用群」を比較して、前者のほうが有意に感染者が少なかったとする調査があることはあります。ですが、それだけで即「マスクには効果がある」とはなりません。
なぜなら、いっぽうでは「マスク着用群のほうが感染者が多かった」という研究も存在するからです。自分に都合のいいデータだけを持ち出して何かを結論づけるのは誤りです。

もしマスクに効果があるなら、いついかなるときでも同様の結果が得られなければいけません。「再現性」は、科学の世界では極めて重いウェートを占めます。完全に同じとはいかなくとも、世界中どこの国・地域でも「大勢がマスクを着けたとたん感染拡大が鈍る」状況が観察されるはずなのです。
でも、現実はそうではありません。マスク着用の有無は、感染率に何の影響も与えませんでした。

この事実がある以上、一見「マスクに効果があった」ように映るデータには、何がしかの瑕疵があると疑ってかかる必要があります。「疑似相関」、いわば「勘違い・思い込み」の可能性が高いからです。
全体の中から、さも「マスク効果あり」に見える部分だけを抜き出したのかもしれません(研究者の恣意によるものか、「確証バイアス」のせいかは別として)。

「マスクの効果」を測るには、マスク以外の要因を慎重に排除しなければいけないのですが、それはちゃんとできていたのでしょうか。マスク着用に熱心な人は、そうでない人に比べ、手洗いやうがいもよけいに行っていたでしょう。そうした「その他の条件」をそろえない限り、真に感染を抑えたのがマスクなのか、手洗いなのか、うがいなのかわかりません。「複合的な作用」というのは、マスクの効果(無効果)をごまかすための詭弁にすぎません。
ほかにも、「マスク着用群」が独り暮らしのリモートワーカーばかりだったら、大家族で生活する集団労働者などより感染率は明らかに下がるでしょう。対称グループは、性別・職業・ライフスタイルなど、ちゃんとランダムに分けられていたのでしょうか。
そもそも、「きちんとマスクを着けていたかどうか」が各人の自己申告であっては、ほとんどデータとしての価値はありません。客観性が欠如しているからです。

ことほどさように、「マスク効果あり」とする研究は、どれも「根拠薄弱」なものばかりなのです。

また、かねてから私が主張しているように、単に2つのグループの感染率を比べるだけではダメです。きちんと「物理法則」にのっとったメカニズムを解明しなければいけません。

マスクに捉えられたウィルスは、いったいどうなってしまうのか。
マスク表面では長期間にわたって活性を維持することがわかっていますが、それは空気中にまき散らされるのか、それともマスクをしている人の肺に再吸収されるのか。
こうした疑問を解き明かさない限り、「マスク効果あり」は「自明の前提」となり得ないのです。

岡医師と佐藤弁護士は、オーサーとしてコメントをする前に、この点を明らかにする必要があります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?