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『ピアス』(妄想日記)

好きな人に「ピアスを開けて」と頼んだ。

彼は私よりも遥かに怖がりそわそわしながら、緊張していた。

「姉に開けたぶりだからドキドキするー
 あーー」という様子。

私は彼の膝に頭を委ね、
彼の香りを感じながら、
その時を待った。

「ちょっと待ってね、
 うーーこわいなぁ、、、よしっ!」
「行くよ?」と彼は言う。

「んっ」と食いしばる私。

「痛かった?」
心配そうに目を潤わせて、私の顔を覗く。

「少しだけ?」と顔を緩ませる私。

「ごめんねぇ〜大丈夫??」と
優しく私の頭を撫でて愛でた。

耳と共に目の下まで火照った。

それだけのこと。


ー好きな人にピアスを開けてもらった。

もうそれだけで私はいつでも彼を感じることができる。

好きな人からしてもらったことはなんでも特別に感じることができる。

耳を触れば、
彼と私が繋がった証を感じることができる。

このピアスの穴を閉じさせまいと肝に銘じた。

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