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【やきとりのこ】

【やきとりのこ】
(皮かモモかはどっちだっていい)

やきとりにおける頂上決戦とも言うべき対決にいよいよ判定を下せねばならない時が刻一刻と迫っている。

頂上決戦とは何か。
それは皮かモモかどちらが人気なのか対決である。

どちらも人気なのは周知の事実だ。
皮はやきとりのオープニングに相応しいメニューだ。
やきとりは皮抜きに語れない。
やきとりの基本なのだ。
相撲で言えば四股を踏むような立ち位置だ。
何事も基本をおろそかにしてはいけない。基本がちゃんと出来てこその応用なのである。
皮の塩焼き。
これこそがやきとりの基本であると私は思う。
鶏肉をさばく時にまず何をしなければならないのか。そう、皮を引っペがさなければならないのだ。
「いやいや皮付けたままさばきますけど」
と言う貴方。
それは私も否定しません。
皮付きのお肉美味しいです。

でもね皮オンリーのやきとりだって美味しいのですよ。
貴方だって皮オンリーのやきとり食べるでしょ。
塩焼きの皮はこれ以上ないシンプルなやきとりで気をてらわない質素倹約さの極地と言えるだろう。
もうこれ以上削ぎ落とす物がない究極のネタなのだ。
焼いた時に滴り落ちる油が目の前を煙となって通り過ぎるその時、香りがふわ〜と鼻腔を駆け抜ける。一瞬目眩がし思わず両目を閉じて上を向く。

♪う〜え〜をむういて、たあべえよ〜お〜お〜お♪
と、ついつい口ずさんでしまっても無理はないのだ。

私は鳥皮の塩焼きと鳥皮ポン酢だけで生中二杯はイケる。熱々の鳥皮と冷々のポン酢のベストマッチ。ベストダッグ。ベストコンビ。一話完結のショートストーリーなのだ。

やきとりマニアの間では猛者はこれだけを注文し一人静かに食べ終え風と共に去って行くのだと言う。
実に潔いでは無かろうか。
食べ終え店を去ろうとする猛者を綺麗なお姉さんが後を追ったとしても何ら不思議ではない。
男の郷愁が似合うのは鳥皮に他ならない。

一方、モモはどうか。
弾力性、噛みごたえ、一本の満足感と言えばモモに他ならない。
「ああ、俺、今、やきとり食ってんな」
とついつい思わせる存在感。
串を持ち上げた時に指先に感じる重量感。しなる串をアチチと言いつつ口元に運びフンガと大口を開けて肉を口中に放り込んだ時に感じる塩っけと油のハーモニー。
滴る肉汁が荒波の様に押し寄せ、口内を幸福感で満たす時、いつ死んだって後悔無しと思わせる無常の喜びが込み上げて来るのだ。

私は塩もタレも両方イケるのだが皮はどちらと言えばタレ派でモモは塩派である。
これは個人によって好き嫌いが別れると思うし、その時の体調によっても微妙に変わる気がする。
塩に飽きたらタレに行き、タレに飽きたら塩にスイッチングする両刀使いが望ましい。

焼きに関して言及すれば、焦げるすんでのカリカリが最高に美味いと思う。
出来れば備長炭で焼いて欲しい。

出来れば「焼き鳥屋」と銘うったお店でちゃんと焼いたやきとりを食べ欲しい。

出来ればちゃんとした「焼き鳥屋」が永遠に残って欲しい。

日本に住む外国人のYouTuberは未だやきとりの良さに気が付いてないと思う。
外国人にやきとりって何と聞かれたら日本人としてその良さを語れなくてはいけないと思う今日この頃なのである。

(やっぱり最後はグダグダだな〜)

おしまい

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