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青い、と思った。

【慣用句】隣の芝生は青い
自分のものより、他人のもののほうが良く見えるということを意味する表現。


青い、と思った。
いつだって隣の芝は青く見えた。見渡す限りみんな、綺麗で鮮やかな青く茂った芝だ。それを見た後に自分の足下を見渡すと、何とも心許ない不揃いで見栄えの悪い芝があった。昔からずっとそうだ。勉強もできないし、運動も得意じゃない、人と話すのも苦手で、これといった夢中になれる趣味もなく、いつも周りの目ばっかり気にしてた。自信がないから人に好かれようと必死で、周りがどう思ってるかばっかり考えて生きてきた。自分がこんなだったから、周りのすごい部分ばかり目についた。目につくたびに見ないようにした。人を見て羨んでる自分も好きじゃなかった。
そんな自分を変えようと思った。変わらないといけないと思った。これが最後のチャンスだと思い続けて走り抜けた。でも変えようと思って挑戦した環境でもやっぱり周りのすごいとこばかりが目についた。話すのが上手い人。自信を持っている人。頭の回転が速い人。仕事も運動もなんでもできてみんなの中心にいる人。みんなすごい。
すごい。ほんとにすごい。羨ましい。
すごい。ほんとにすごい。羨ましい。
すごいです。ほんとに。羨ましいです!
三田さん!
すごいですね!羨ましいです!
え、おれ?
三田さんって?おれに言ってる?

「三田さんは何でそんなに人の気持ちが分かるんですか?」
「愛される力がすごいですよね。」
「人が周りに集まるよね。」
「言語化めっちゃうまいですよね。」
「僕にはないもの沢山持ってます。」

あれ、もしかしておれが言われてる、?
どういうこと?
おれはそれを言う側なんだけど。。
どうやらこんな何もできない自分のことを、
すごいと言ってくれる人がいるらしい。
いつも自分の弱いところ、できないところばかり見てきた。周りの人のできるところ、すごいところばかり見てきた。だから気づかなかった。
でも、もしかしたら隣の人から見た時、自分の芝も違った色に見えてたのかもしれない。
そんなことに気がついてからもう一度自分の足下を見ると、

青い、と思った。

💡電通のサマーインターンのエントリー課題の「青い、と思った。」を書き出しで600文字書きなさいってのがあったんですけど、たった今寝落ちして締切すぎたので代わりに書きました🫠
内容はフィクションです。

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