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私学訪問日記【神奈川学園中学・高等学校】

横浜駅から歩くこと10分の場所に位置する神奈川学園中学・高等学校は、1914年(大正3年)に横浜の地に創立され、100年以上の歴史と伝統を有する女子校です。創立者である佐藤善治郎は、「一、女子に自ら判断する力を与ふること」「二、女子に生活の力量を与ふること」を建学の理念として掲げています。同校が創立された大正時代には、すでに貿易都市として発展していた横浜ですが、この地で女性が社会で活躍していくために必要な能力を育てる教育を今日に至るまで行ってきました。一人ひとりの個性と人格を尊重し、可能性を引き出すための教育を実践されてきた同校。その取り組みを体感できる学校行事が文化祭です。今回は、コロナ禍を経て4年ぶりに、公演・展示・喫茶が同日開催という「完全な形」で実施された、文化祭にお伺いしてきました。

文化祭では多くの方が来場されており、小学生の子たちが体験ブースで物を制作していたり、ご年配の方が熱心に展示を見ていたりと、様々な年代の方が文化祭を楽しんでいる様子が見られました。
同校の文化祭では、中学1年生・中学3年生は喫茶、中学2・3年生、高校1・2年生は展示で、高校3年生は中学1年生の喫茶のお手伝いをするそうです。また各クラブが展示や公演を行っています。
文化祭の展示については、まず一人ひとりがアイデア出しを行い、クラス内で意見を交換し、そこからグループごとでテーマについて調べます。そしてクラス内でプレゼンを行い、クラス展示のテーマを決定するそうです。クラス展示のテーマが決まれば、テーマに関する専門家の講演を聞いたり、街頭インタビューといったフィールドワークも行ったりしながら調べあげていきます。同校では、中学1年生から高校2年生まで『Kanagawaプロジェクト』という探究的な学びが進められていますが、こうした調べ深めることを、学年ごとに内容を変えながら身につけていきます。

生徒の学びの成果である展示は、ただポスターが貼られているだけでなく、動画や参加者が体験できる体験コーナーもあり、様々な工夫があり、来場者を楽しませてくれます。また展示では、生徒の方が展示内容のことを、詳しく丁寧に説明してくれるのも同校文化祭の特長です。
高校1年B組の展示では、同クラスの生徒会執行部の方が、結婚をテーマにしたクラス展示を説明してくれました。同クラスでは、「独身でも幸せではないのか」という問いから、「結婚していない=不幸せ」ではない社会を考えるということで、結婚について調べていったそうです。みなとみらいでの街頭インタビュー(外国人の方に英語でインタビューもしたそう)をしたほか、横浜市にある全41軒の結婚式場に同性婚の結婚式を実施したか電話で取材をしたり、海外で同性婚をされたYouTuberの方にオンライン取材を行ったりもしたそうです。生徒の方にお聞きすると、文化祭に向けた取り組みは、高校1年生で同じく行われているフィールドワーク探究で生かされていると教えてくれました。

高校1年B組の展示

生物部の展示では、中学1年生の生徒さんが、中学生部員が行った活動内容を説明してくれました。同校では理数教育にも力をいれており、数学では、早めの習熟度別授業の導入と、論理性を育む取り組みの積み重ねを、理科では、物理・化学・生物・地学の分野別の4実験室を利用し、中学3年間で「100以上の実験・観察」を実施しています。生物部の展示を説明してくれた生徒さんも、理科の授業内で実験が多いことが、同校を志望した理由の一つだったそうです。また、たくさんある実験についても、自由度が高くてとても楽しいと教えてくれました。

生物部の展示
中学生部員の説明の様子

多種多様で学びのある展示に、素晴らしい公演と、魅力あふれる同校の文化祭でしたが、生徒のお一人おひとりが、とても親切に丁寧に説明、対応してくれることに感動するとともに、展示のレベルがとても高く、同校の学びに益々興味を持ちました。
今後も同校の教育に注目していきたいと思います。

(コアネット教育総合研究所 放課後ラボ事業部 佐々木 梨絵)

学校紹介 | 神奈川学園 (kanagawa-kgs.ac.jp)

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