強く生きる言葉
小学校二、三年ぐらいの女の子たちが
数名ひどい傾斜の道を平気で降りて行く。
気になる。
ひとりの役人が声をかけた。
「君たちは実に達者だな。
だがこんなひどい道で転んだらどうする」
利発そうな目のクリクリしているかわいい子がふり返った。
「おじさんはおかしなことを言うね。
転んだら起きてまた歩けばいいじゃないか」
役人と私は目を見合った。
私は心の中でうなった。
「転んだら起きてまた歩けばいいじゃないか」
もう一度私は自分に言いきかせて、
気の弱い青年のことを頭に思い浮かべた。
赤尾好夫
『老人におくることば』より
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