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徒然なるままに、ささやかな書き物でもしてみんとす。

雨降りの後の、打ちっぱなしたコンクリートを薄めたような空から、白っぽく光が部屋に入ってきている。それは初夏の強烈な、恋を覚えたばかりの少女が微笑むような明るさもまぶしさもなく、うっすらとした陰りを以って水っぽく、冷たく白々しく、他人にするようなよそよそしさだった。
雨の後は静かである。水っぽい冷たさが白っぽい怪物となって音をむしゃむしゃ食べつくし、世界を静寂にしているのかもしれない。人の息すら食べつくし、白っぽく世界を支配している。
鳥が突き抜けるように声を上げた。怪物の腹を引き裂いてツバメたち、四角く白っぽい空に縦横無尽に張られた真っ黒い電線のどこかで、一様に同じ方を向いて鳴いている。もうほとんど巣立って、空の巣が目立つようになっているだろうに、いまだ残るはよほどのんびりしていたのか、精力的に子育てしていた一家か。
心臓が震えるほど大きな音を立てて、エンジンが続いた。車が走っている。水をばしゃばしゃ跳ね上げて、すれ違いざまにあいさつのようにブレーキがかかる。
でもまた静寂。
また食いつくされた。
雨上がりの怪物、おはよう。世界はおいしいかい?

「徒然なるままに」の一文で、その時々のささやかな書き物を始めた某人のごとく、ささやかな書き物をしていきたい。
時に日記であり、時に小説かもしれない。
よしなに。

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