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彼女の涙

彼女はとても涙脆い。
誕生日プレゼントもらった時、友人が結婚した時、友人が恋人に浮気された時、箱根駅伝のVTRを観てる時、小説を読んでる時、映画を観てる時。彼女はよく泣いている。感情が豊かだと周りからは言われる。彼女は他人を思って、思いやって、小説や映画でもこの人たちが幸せになってほしいと思うと涙が出ているのだ。他人に不幸があった時、何であなたなのだろう私じゃないのだろうと涙する。恋人に浮気された友人より泣いた。友人が結婚したと聞いた時には、別れを繰り返してる2人だったから本当に良かったと気づいたら涙が込み上げていた。プレゼントもらえた時にはこの私のために買ってきてくれたというその思いに涙した。そう、本当に涙腺崩壊という言葉がぴったりなのかもしれない。
でも彼女は自分に不幸があった時、自分が辛い時、自分だけ不条理な時。そんな時に泣けない。それこそ哀れで、傷ついてる自分に対しては涙が溢れない。なんてひどいのだろう。何故自分を大切にできないのだろう。他人をこんなに思いやれているはずなのに。それも嘘なのだろうか。嘘の気持ちであんなに涙を溢れさせることができるなら、役者に向いているかもしれない。彼女を内側から覗くと、優しい人なのか酷な人なのかたまに分からなくなる時がある。基本は情に熱い人であるのに、急に冷めた態度を取る時がある。そんな彼女がたまに怖くなる。自分でも分からなくなるのに相手に理解してもらおうというのが迷惑極まりない話である。
彼女がいつか自分のために泣ける日を私は1番近くで見守っている。

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