[ショートショート]ABO戦争

突然だが、血液型は長く戦争状態にある。
現在、人間の血液型は大きく分けて４種類A、B、AB、Oだ。

それらグループは、何かするわけでもなく、血液の性質によって4分類されただけの人達の組織であり、特別な活動もなければ何もない。ただ、唯一、あるとすれば、彼等は血液の性質が似ているがゆえにお互いの血液の共有をすることができるのだ。

4つのグループはそれぞれの戦略によって勢力を拡大させてきた。Aは真面目が売り。Bは人を引き付ける魅力を持っていた。ABは、AとBの間の子だが、天才的な発想力を持った。唯一、三大勢力の影で密かに生きながらえてきたのがOで誰とでも交じり敵を作らないことに優れていた。

４者４様の生存競争。時代を重ね、その勢力図は変わり続けたが、殺戮が起こるわけでもなく唯々、数字の増減だけの争いをしているのだ。血液だけに、血を流すのは嫌いなのだのだろう。

平成の世は、バブルが崩壊し人々は安定を求めた結果、Aが力を増した。それに伴い、夢追い人で一匹狼のBは勢力を弱めていった。

そして今、令和の世は、どうなるだろうか。

私が予言しよう。成熟した資本主義とバブルの再来が叫ばれ、再び個の魅力が輝き持て囃されるようになっていく。そんな中で危機感を覚えているのがA達である。Aの時代が長かった分、どうにかしてトップの座をBに譲りたくない。どうしたらいいのか。

だからと言って何の活動もなければ、会議もできないのが血液型ゆえ、唯々、何処と何処が結婚し、どっちが産まれたのかという数字を見ることしかできない。

どうにかしたい。どうにかせねば。

その強い想いは、次第に人間達にも伝わり、徐々にではあるがA型尊重主義が出始めるのである。それは、決して他者排除ではなく、自発的に偶発的に同系統つまりはA型のみを好きになるというもの。AAとAAの夫婦は、一生懸命、AAの子供を増やし、Twitterで報告。仲間同士で誉め称えあうといった現象が起こるようになるのである。

Aの自尊心が増すと他の3者も次第に敵対心を抱くようになる。そうやっていつの間にか、平和的戦争から排他的戦争へと移り変わっていくのである。

そのうち、皆違って皆良いという詩人が持て囃されるよう時代が来るのだが、それはまだ遠い未来の出来事。

もしかしたら、令和の世に１つの血液型が消滅するかもしれない。それは人因的なものかもしれないし病気等の外部的な要因かもしれない。

とまぁ、そんな具合で、ここから推察できることは、人間が生きる社会情勢と血液型には一定の相関関係があるということであります。

昔から占いで血液型が使われてきました。それらは統計学的なデータの蓄積による分析であり、その情報を我々は甘く見てはいけないのです。

我々は、今まで、血液型と性格や個性は無関係だと教わってきたのかもしれない。占いなど非科学的だと教わってきたのかもしれない。

だが、事実は真逆にあるわけです。

皆さんの中には、必ず自らの血液型への愛着があり、愛情があり、自尊心があり、仲間意識がある。そして、何処かで自分の血液型の繁栄を願っているのです。

よく考えてみてください。思い当たる節があるでしょう。我々は皆、自分の血液型に誇りを持っているのです。

さてさて、ここらへんで、本日のまとめをしましょう。

自分の血液型を繁栄させる良い方法があるのです。

もう気づいている人もいるでしょう。

でも、敢えて気づかない人のために言います。

あなた方の自尊心を傷つけないように敢えて下手に出て言いましょう。

あなたの血液が必要です。献血にご協力ください。