見出し画像

教室運営で思うこと(6)テキストを読まない子供たち

大人に教えることは研修講師という仕事を通して経験していますが、子供たちに教えるのは塾を開いてからです。
教員になるための専門教育も受けたことがありませんから、結構インターネットや書籍で時間を見つけては勉強しています。
そんな私が子供たちとふれあう経験を通じて身に着けた指導方法について書いてみました。

※この記事では教室運営について思うところを書いています


止まるまで待つ

私の教室は、生徒の入会する月がバラバラです。
クラス授業のように大勢を対象に授業をすることができません。
すべて個別対応になります。
生徒一人に先生が一人にずっと付きっ切りというわけにもいきません。
タイミングをみて指導に入る方法をとっています。

幸い(?)、生徒はできる自分を見せたいのでしょうか?
テキストを配布すると、すぐにロボットを作り始める子が多いように感じます。
あらかじめ説明をしてからスタートしたいのですが、
「よーい、ドン!」の合図も待たずに突っ走ります。
そして一度走り始めたら聞く耳をもちません。

そんなこともあって、話を聞いてくれる子には最初に説明し、
話を聞かないで突っ走る子は、上手く動かず悩むところまで待ち、
そこから指導を始めます。

うまくいってない時の指導

プログラムが動かずに悩んでいる場合の指導は次のように行っています。

  1. どのようにロボットを動作させるプログラムを作ったか説明してもらう。(目標設定の確認)

  2. 何が問題なのかを説明してもらう。(問題の言語化)

  3. どこに原因があるか考えてもらう。(問題個所の特定)

  4. どのように修正するか方針を決める。

  5. 完成に向けて修正し動作を確認する。

御覧いただいて気づかれたと思います。
指導においてやっていることは「聞き取り」です。
こうしなさい、ああしなさい、と答えを与えることは極力しません。
生徒に気づいてもらうように聞き取りに徹します。

ただし、この方法はとても時間がかかります。
なぜなら子供たちがうまく説明できないからです。

どう話したらわかってもらえるか悩みながら言葉を絞り出します。
かわいそうになって助け舟をだしたくなりますが我慢します。

視点を変えてみてもらうように質問を変えたり、
ひとつ前の作業との関連性に気付いてもらうような質問をしたり、
いくら時間がかかっても子供たちが考える時間を奪ってはいけません。
ここは忍耐が必要になります。

テキストを読まない子供たち

子供たちを観察していると、
多くの子供たちが「テキストの文章を読まない」ことに気が付きます。

テキストに掲載されている写真や図だけを見て作って、
上手くいかないと悩む子が多いように感じています。
その時は、
「テキストになんて書いてあった?」
と聞き、テキストを読ませます。

実は「テキストになんて書いてあった?」と聞くようになったのは、
文章の意味を理解できていないんじゃないかと疑いを持ったからです。

質問の答えは「わからん!」

あるとき、上手くいかなくて悩んでいた子に、

「テキストになんて書いてあった?」

と聞いたところ、どうも読んでなかったようなので、
一度目の前で読んでもらってから、あらためて

「なんて書いてあった?」

と聞きました。
すると答えは、

「わからん!」

いくつか質問の方向を変えてみましたが
返事はかわらず

「わからん!」

たまたまその時だけのことだったのか、
それともめんどくさがってのことと軽く考えていたのですが、
よくよく他の子も観察してみると読めばわかるようなことで
悩んでいます。

読んでないのか
それとも読んでも意味がわからないのか、
一人だけにみられる現象ではありませんでした。

読んでも意味が分からない疑惑が深まります。

文章の意味が分からないから、言語化できない(文章がつくれない)、
だから聞いてもうまく説明できない。
リンクしているように感じました。

「物事、事象を表現する語彙が不足しているのか?」
「その言葉を使うシチュエーション、使い方がわからないのか?」

いろいろなことが考えられます。
ですが、国語の教室ではないので踏み込んでそればかりをやるわけにもいきません。

会話を増やし、説明させる

それからです。
彼らの学校の様子や得意なゲームの話を聞いて、とにかく会話の機会を多く持つようにしました。
会話の中から表現方法や言葉の意味を理解してもらうためです。

また、ロボットが完成したら、そのロボットの説明動画をつくることにしました。
例外なく全員です。

説明の型を決め、それにそって説明させました。
最初は嫌がってなかなか人前で説明したがりません。
強制されて、しぶしぶ取り組み始めます。

ほかの子の動画を撮影する様子を見て、自分でも説明して、

数回繰り返して少し慣れてきた頃から、
自ら説明するための原稿を書くようになりました。

少なくともロボットの動作を説明するという簡単な説明はできるようになったかなという感じです。

会話を増やすことで表現の幅を広げ、説明の原稿を書くことで文章の意味を理解する能力に好影響が出ていればいいのですが・・・。
この点はまさに試行錯誤しているところです。

余談:あたらしい学び

すこしプライベートなお話です。
私は残念ながら子供を授からなかった人生です。
そのため育児経験がありません。
小中学生向けのロボットプログラミング教室を開いて
子供たちとふれあうことになり、自分をどういうポジションに置くか考えました。
教える対象が大人から子供に変わりましたが先生と生徒という感じにはしたくありません。
かといって子供をもつ親の経験もありませんから。親の視点にも立てません。
そんなわけで子供たちの目線に立った「大きなお友達」を目指しています。

最近流行りのゲームの話や、学校の話題を友達のように聞いています。
太っていることや、後頭部がやや薄いこと(ややですぅ!)を
からかわれたりしますが、
「大人をいじめて楽しいかー!」
と切り返したりして、ワイワイふざけあったりしてます。

子供たちにとってプログラミングは「新しい学び」です。
私にとって子供たちとのふれあいは「新しい学び」になっています。

最近は年齢差も意識するようになり”ジイジ”も絶賛"疑似"体験中です。


いいなと思ったら応援しよう!