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教室運営で思うこと(19)雇用の未来とその準備

「AIが半分の仕事を奪う」という話題が注目されたのが2015年。AIに置き換えられる仕事、置き換えられない仕事が例示され話題になりました。
その後、雇用の将来の研究が盛んに行われ、半分の職業がなくなるというのは言い過ぎで9%前後が妥当という見方もあるそうです。
未来予測というのは難しいものですが、教室で顔を合わせる子供達にかかわることなので、いろいろ調べたことがらを、かいつまんでお話しようと思います。(詳細については別記事にする予定です。ちょっと硬め)

※この記事では教室運営について思うところを書いています。


AIだけじゃない未来を変える技術

2015年12月「AIにより日本の労働人口の49%の仕事がなくなる」というレポートが野村総合研究所とオックスフォード大学の共同研究の結果として発表されました。
レポートにはAIやロボットなどのデジタル技術によって機械に置き換えられる職業、置き換えられない職業が紹介されていました。

AIでなくとも職業に変化をもたらした技術があります。「RPA(Robot Process Automation)」です。
ルーチンや反復的な作業を自動化するソフトウェアテクノロジーで、人の代わりに入力を効率化するパソコンの中のロボットです。
人の入力ミスを削減することで全体的な効率向上をはかります。

実は「AIにより仕事が奪われる」と話題になってましたが、「AIに限らずRPAやロボット等のデジタル技術の導入により仕事が機械に置き換わる」というのがレポートの内容です。
実例をあげると銀行などの金融業界ではRPAが急速に導入されルーチン業務の省力化が進められています。

生成AIの登場で少し未来が変わってきた!?

最近になって、OpenAI社が生成AI「Chat GPT」を公開し、一般の人々もアクセスできるようになりました。自然言語処理が特徴で、人と話すような対話能力と応用の可能性で大きな注目を集めています。
Chat GPTの登場は、AIによって置き換えられる職業を一部現実のものとしています。

2023月9月7日 NHK ビジネス特集「AIで仕事を失いました」あなたの働き方が変わる?


報道では米国で起きている生成AIの影響で失職した人のインタビューや、適切な応答のできないチャットボットの問題、さらに次世代AI開発への熱気がレポートされています。

この報道の中で一つ気になったのは、失職した方が「コピーライター」と「カウンセラー」だったことです。
2015年のレポートでは、AIによって置き換えられない職業の中に「コピーライター」「カウンセラー」がありました。
チャットボットに置き換えたカウンセラーの仕事は失敗に終わり、AIに置き換えられないことを証明しましたが、一方でコピーライターの仕事はAIに置き換えられてしまいました。

生成AIという技術の進化が、未来予測に変化を生じさせています。

格差が広がる可能性

「AIに仕事が奪われる」という研究の発表から、「雇用の未来」についての研究が世界各国で行われました。

結論からいうと、職業がなくなるのは全体の9%前後というのが、多くの研究者の見方のようです。さらに職業そのものがなくなるというより、職業を作業工程に分解し、その中で作業をAIやロボットなどのデジタル技術に置き換える可能性が高いということです。
その一方で、過去の歴史をみればテクノロジーの進化で職業を失うという類の話題は時折あったことも指摘されています。
1961年のTime誌では「オートメーションが仕事を奪う」という特集記事があったそうです。
主張するところは現在の「AIが仕事を奪う論」と同じで、「新しい産業が十分な新しい職業を創出しないと、大きな経済問題になる」というものです。
ただし、前にも同じような議論があったからといって楽観視はできません。

主に失職の可能性があるのはスキルが中レベルの労働者であり、彼らこそリスキリングの対象であるということです。

時代背景的に厳しいのは、現在の企業が欲している人材はスキルレベルが高レベルの人材です。
再教育によって中レベルから高レベルのスキルを獲得するのは困難との見方もあります。
そのためスキルが高レベルの人材は求人に対して絶対数が少ないため報酬が高くなる傾向にあります。
一方、企業の求める高レベルの人材になれなかった場合、低スキルの職業につくことになり、低スキルの職業の労働人口が過剰になり報酬も低くなってしまいます。
結果、格差が一段と広がります。

不確実な未来への備え

テクノロジーが社会を変革し、その影響で求められる人材のスキルも変わってきます。
雇用の未来の研究では、デジタル技術のスキルが重要視されています。
それはAIだけではありません。ロボットも含まれます。
未来予測は常にその時点での予測であって、登場する新しいテクノロジーによって書き換えられます。
絶えず変化していく世の中で、テクノロジーを評価し、未来を切り開くスキルとして習得できるよう子供たちに教える必要があります。
難しい課題です。
どこまでできるかわかりませんが、限られた時間の中で経験則も踏まえて役立つ知識を伝えたいと思います。


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