見出し画像

私が抜いたSM小説 -その5-

画像はSMセレクトに掲載された杉村氏のデビュー作冒頭とフランス書院文庫から発行された哀姦未亡人第1巻のカバーです。

杉村春也さんの“哀姦未亡人”を紹介します。杉村さんは団鬼六さんが審査を務めたSMセレクトの懸賞小説に入選してデビューしたという事をたまたまその応募作”被虐の佳人“が掲載された号を古本屋で買ったので知ったという縁で愛着を感じます。哀姦未亡人は彼が押しも押されもせぬ人気作家になってからSM雑誌に連載され、後に5巻のフランス書院文庫にまとめられました。私は最初の2巻を古本屋で買い、その後あちこちの古本屋を回って第3巻、第4巻と何とか見つけましたが第5巻はついに見つけられませんでした。出版社にもコンタクトし、「再版予定無し」と聞いて落胆し、出張の帰りなど時間を見つけてはその土地の古本屋を巡り歩いたものです。ネットとか有りませんから電話帳と地図を頼りに・・・。その後奇跡的にネットに連載され、第5巻相当分をDLしましたが、実はまだ読んでいません。ブランクが長く第4巻までを読み直してからと思うままずるずると・・・。
ここで引用するのは第1巻のほぼ中央、即ち全巻の約1/10進んだ場面です。ヒロインは32歳の松原雪江。夫の誠二が知人の借金の連帯保証人を引き受け、その知人が雲隠れしたため誠二は借金を背負い、自宅を担保にして実兄の木下貞一から金を借りて返済したところで誠二は病死してしまい、雪江は貞一に犯され、後に貞一の妻時子にも嬲られます。第2巻以降では雪江が21歳で産んだ娘久美子や、雪江が貞一に強制されて交わらされた大学生との間にできた娘さゆりも奴隷となり、雪江の死後も久美子の娘陽子までも奴隷となります。加虐者側もしっかり後継者がいるのですね。
さて、1990年発行“哀姦未亡人”第1巻“生贄淫刑の部屋”から雪江が亡夫の三十五日の日に学生時代の同級生梶山知子と木下時子に嬲られる場面です。
・・・
執拗な淫ら責めにあって何度か惨めな崩壊を遂げた雪江は、時子の息子の健一が小学校から帰ってきたおかげで、ようやく床柱から解かれたが、それで解放されたわけではなかった。健一に留守番をさせて時子と知子は、未亡人の墓参に同行することになったのだ。雪江の亡夫で木下貞一の実弟にあたる松原誠二の遺骨は、木下家の墓地ではなく、松原家の墓所に納められている。松原家の祭祀を継ぐ条件で誠二が松原家の入婿になったからである。30分ほど車に乗り墓地の近くで3人が降りた時には釣瓶落しの秋の陽が西の空を茜色に染めていた。着飾った時子と知子は、ぎこちない足取りの喪服の未亡人を左右から抱えるようにして墓地の入り口まで連れていったが、雑木林を背にした閑静な墓地には人影一つ見あたらない。
「誰もいないようだわ。木下の奥さま、淫乱な未亡人の墓参りにふさわしい格好にさせましょうよ」
ニヤッと笑った知子が未亡人の喪服の裾を高々とまくりあげた。
「手で隠したりしたら、素っ裸にして縛り上げるよ」
と、時子も脅しながら、知子に手を貸して喪服の裾を雪江の帯にたくしこんだ。
「ああ、ひ、ひどいわ! こんなところでお嬲りにならないで・・・・・」
雪江は火をふかんばかりの顔を両手でおおった。高々と裾をまくられた雪白の下半身は、その中央に慎ましく生え揃った黒い茂みまであらわにさらけ出され、股間縄で割られた茂みからは、挿入された張形の根元が納まりきらずに、ニュッと頭をもたげているのだ。しかも、股間縛りの細い縦縄が、露出した張形の根元をしっかり巻きしめて、脱け出さないように固定しているという念の入れようであった。
「露出狂のくせに、人並みなことを言うじゃないの。ぐずぐずしてると日が暮れちまうよ」
未亡人の股間から生えている淫靡なものを時子がポンと叩くと、子宮にまでズンと応える刺激に、雪江は悲鳴をあげて、観念したようにそろそろと歩き始めた。
「も、もう歩けませんわ。お願いですから、腰の縄を解いてください」
10歩も歩かぬうちに、雪江は頬を染めて立ちすくんだ。歩みにつれて、体内に埋め込まれたものが柔襞に微妙な刺激を与えるのだ。返事の代わりに時子は、まるで金槌で釘でも打つように張形の根元を掌で強く叩く。
「ヒィーッ!」
と、再び甲高い悲鳴が墓地に流れた。
「馬鹿ね!ここは家の中じゃないんだよ。恥をかきたくなかったら、黙っておとなしくお歩き!」
まだスパンキングの腫れもひきやらぬまろやかな双臀を時子に叩かれた雪江は、歯を喰いしばっておぞましい刺激に耐えながら、再び歩き始めた。ようやくの思いで松原家の墓所までたどり着いた未亡人は、喪服の下半身を露出した浅ましい姿で『松原家累代之墓』と刻まれた墓石の前にぬかずくと涙ながらに合掌して両親や夫の墓に訴えた。
(お父さま、お母さま、どうすればいいの。私、もう我慢できそうもないわ。あなた、助けてちょうだい)
そんな未亡人の姿を鬼のような二人の女は写真に撮るだけでは物足りず口々に嘲笑を浴びせるのだ。
「誠二さんに何を報告してるんだい、おゆき、あんたの兄さんの妾にしてもらったから、迷わず成仏してくれと言ってるのかい」
「だけど、肝心のところまで丸出しにして見せつけられちゃ、旦那さんも浮かばれないわね」
「知らぬは亭主ばかりなりって言うけど、女房がこんな露出狂の淫乱女と知ったら、化けて出るかもしれないよ」
「ちょいと、白雪姫さん。記念写真を撮ってあげるから、墓石にまたがってよ」
調子に乗って知子が命じると、雪江はきっと顔をあげて言い返した。
「ど、どこまで辱しめれば、気がすむんです。死んだ人のお墓まで冒涜するような真似はやめてください!」
たとえ、この身はどのように嬲られようと止むを得ないが、先祖代々の墓まで道具にして辱しめようとする女たちが、雪江には悪魔の化身としか思えなかった。
「あ、あなたたちは鬼よ! 人でなしよ!」
口惜しそうに身を震わせる雪江の頬に、時子の激しい平手打ちが鳴った。
「えらそうな口をきくけど、お前はどうなのさ。亭主が死ぬのを待ってたように、その兄の妾になったお前こそ、犬畜生にも劣る人でなしじゃないか!」
時子が喪服の腕を背中に捻じあげると、以心伝心で知子がすかさず帯に手をかける。10分後、喪服を剥がれて全裸の後ろ手縛りにされた美貌の未亡人は、見るも無残な格好で墓石に縛りつけられていた。墓石の高さは腰ぐらいまで、横幅は50センチ、奥行きは30センチほどあろうか、その墓石に裸のお尻を乗せて正面を向いた雪江は、両脚で墓石を抱えるように大きく股を開いていた。墓石の両脇に垂れたそのほっそりくびれた左右の足首を縛った縄が、墓石にぐるぐる巻きにされてガバと開いた股間を閉じることもできない。しかも開陳された股間縛りの中央から淫具の根元が覗いているという、何とも浅ましい姿であった。
「お、お願いです、梶山さま。写真を撮るのは許して・・・・・・」
うわ言のように弱々しく哀訴を繰り返すクラスメートのあられもない裸身を、知子はいろんな角度からフィルムに焼きつけたが、ぬけるように白い乳房や腿までが薄赤く染まっているのは、夕陽の残照のためばかりではないようであった。
「アンコールショウとゆこうかね。旦那さんのお墓にたっぷり蜜でも注いでおやり!」
時子が、こんもり盛り上がった乳房を揉みしだき始めると、知子もカメラを墓所の棚に置き、
「じゃあ、木下の奥さま。今度は私が下を受け持ちますわ」
と、雪江を股間縛りにした紐を解き張形の根元を握って抽送を開始する。すでに木下家の客間で何度も昇天させられた挙句、今まで張形を体内に埋められて淫靡な刺激を受け続けていただけに、熟れきった女体の反応は早かった。
「ああ、いや、いやあ! お願いですから、もう許して・・・・・・」
あえかな朱唇から白い歯をこぼして喘ぐ女体の奥から、たちまち甘い花蜜が溢れて墓石を濡らしてゆく。夫や両親の墓石にまたがらされて惨めな凌辱の思いが雪江の倒錯した官能をいやが上にも昂ぶらせ、
「ああ、あ、あなた、許して……雪江は、だめ・・・・・・もう、だめよ」
夢中で口走りながらのけぞって時子に背中を預けた雪江は、墓石にまたがった雪白の太腿を激しく痙攣させた。
「まあ! 白雪姫ともあろうものが、大した乱れようね。恥ずかしくないのかしら。喰いしめて離しゃしないわ」
余韻の痙攣が納まってから、根元に細紐を巻きつけたままの張形をやっと引き抜いた知子は、まだうっとり目を閉じて喘いでいる雪江の口の中に濡れそぼったものを押し込んだ。
「自分で濡らしたものは、自分で清めるのよ」
知子が小気味よさそうに言うと、時子がその根元に巻きつけた細紐を首の後ろに回して結び、まるで張形の猿轡を嵌められた格好の雪江に冷笑を浴びせた。
「いつまでもしゃぶってるがいいわ。(後略)」
・・・
杉村さんはSM雑誌への寄稿文で、「私がSM小説かを目指したのは団鬼六さんや千草忠夫さんの流麗な文章に惹かれたというよりは、他の多くの作家の作品を読んで、これくらいなら俺にも書ける、と思ったからだ。」というような動機を書かれていますが、団さん、千草さんと並び称されるような巨匠と言ってよいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?