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夫が令和版「優三さん」でして/虎に翼

朝の連続テレビ小説「虎に翼」に夢中です。

今期のドラマは他にも、映像と音楽がとにかく雅やかで、人の豊かさも愚かさも影も光も余すところなく描く大河ドラマ「光る君へ」、え、これもしかして第一話から繋がってるの?録画消さないでおいてよかった!と思っている「アンチヒーロー」、慎ましやかなおじさんの奮闘に我が事の如くワクワクした夜ドラ「VRおじさんの初恋」(5/23最終回でした)、もはや見ることは習慣であり、生活の中でラジオのように常時流しておきたい「ソロ活女子のススメ」、それぞれに素晴らしい。

なかんずく噛り付きで見てしまうのが
「虎に翼」なのです。

(以下、第8週までのネタバレを含みますのでご承知おきください。)

***

タイトルの「優三さん」は、主人公である寅子(読み:ともこ / 愛称:トラちゃん)の、夫です。

これは…ほぼ「逃げ恥」ではないか!という契約結婚からの純愛を見せてくれたキュートなお2人ですが、時は戦時中、優三さんに赤紙が届きます。

出征を控える夫を前に、寅子は思うのです。

わたしはこの人に何をしてあげられるのだろう、いや、これまで何かしてあげられたことがあるのだろうか、わたしは…と。

これ、わたしにも覚えがあります。

わたしの夫は、わたしに何も求めません。

女らしさとか
妻らしさとか
嫁らしさとか
内助の功とか
笑顔とか
努力とか
前向きさとか

押し付けてくることが、一切ない。

2人で暮らしているとそのことが段々当たり前になってくるけれども、一歩表に出ると何かの型に嵌められそうになることがやたら多いことに改めて驚きます。

最近の女の人は優秀だよね
女性ならではの視点を…
奥さんとしてどう思う?

わたしは、ただのわたしを「わたし」として尊重してくれる夫に心から感謝しています。

でも、わたしは何か夫に返せているだろうか。
ギブに対して、テイクできているのだろうか。

出征するということは、命を差し出す可能性も大いにあるということ。
夫がそんな状況に立たされたときに、わたしは自信を持って彼を送りだせるだろうか、いや。

寅子の葛藤を、優三さんへの強烈な申し訳なさを、わたしも同じように夫に対して感じるはず。
ましてわたし、寅子と違って子ども産んでないし。

思わず謝罪した寅子に、優三さんは言います。

トラちゃんが僕にできることは謝ることじゃないよ。トラちゃんができるのは、トラちゃんの好きに生きることです。また弁護士をしてもいい、別の仕事を始めてもいい、優未のいいお母さんでいてもいい。僕の大好きな、あの何かに無我夢中になってるときのトラちゃんの顔をして、何かを頑張ってくれること。
…いや、やっぱり頑張らなくてもいい。トラちゃんが後悔せず、心から人生をやり切ってくれること。それが僕の望みです。

きっと夫が同じような状況に置かれたとき、たまらずに謝ってしまうわたしに、夫は同じようなことを言うだろうな。だって夫は国家総動員法が無くなった令和でもかなり近いことを普段から言っているのだもの!

と思ったら、なんだか夫が出征するような気分になってきて、慟哭してしまいました。

そういえば、「逃げ恥」でも平匡さんが段々夫に見えてくる怪奇現象が起きたな…

たぶん、平匡さんも優三さんも夫も、他者を何かの枠組みや役割としてではなくて「その人」として見ている。

そこが大きな共通点であり、わたしのハートを鷲掴みにする所以なのだと思います。

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