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合流して1時間、もう帰りたいと思ってる

夫のきょうだい夫婦が、家を建てました。
そこで、お祝いついでに新居へ伺うことになりました。

伺う日程を忘れてはいけないのでスマホのカレンダーに書きこんだし、気分を上げる為にお土産のお菓子を(ちゃっかり自分たちの分も)予約したし、お祝いもピン札を用意して封筒に入れました。

うん、完璧だ。

正直なところを申し上げますと、わたしは夫のきょうだい夫婦がどんな場所にどんな家を建てたかについて、ぜんぜん興味がありません。

ただ、どうやら近しい人の新居には喜び勇んで足を運ぶのが定石らしいし、夫は訪れたり迎えたりすることを良きことと感じているらしい、ので空気を読んで「そりゃ当然行くわよね」みたいな雰囲気を醸してみました。

わたしは、ちゃんとした大人に擬態しながら生きているので。

我々夫婦が結婚したときのことを思い起こすと、わたしの親きょうだいや夫のきょうだいを始め、親戚の方々が順に新居を訪れました。

しかし、夫の両親の訪問は無く、その後現在に至るまで、彼らは一度も我が家に来ていません。海外旅行には行くのに。

夫やきょうだいは「興味ないのかな」「親なのに」「信じられない」などとやいやい言っていましたが、わたしはそっと、夫の両親に共感しました。

まぁ、遠いし、面倒だし、お金も掛かるし、その割に用も無いし、放っておいてもこっち(夫の実家)には時々来るから会えないわけでもないし…というところだと思います。

うん、わかる。

わたしは自分の親よりも、よほど夫の両親に精神的近しさを感じているのです。

さて、訪問当日。

お邪魔する前にみんなでお昼でも食べましょうということになり、新居の最寄り駅にあるショッピングモールで落ち合いました。
何にしようかーやっぱりお蕎麦かなーなどとお店を選び、席に通され、銘々注文し、注文した品が届き、食べ始め、途中でわたしは気付いてしまったのです。

あ、もう、帰りたい、ということに。

合流して1時間くらいしか経っていないし、そもそも今回は新居訪問の為にはるばるやってきたというのに、目的を達成する前にもう、帰りたくなってしまっていることに。

誤解しないでいただきたいのは、わたしは決して、夫のきょうだい夫婦を嫌っているわけではないということです。
むしろ、彼らは終始感じがよく、程よくリラックスしており、向こうから話題を振ってくれたりして、居心地がよいと言っても過言ではありません。

わたしも、脳が誤解するように意識的にニコニコしていたし、お土産も奮発したし、きょうだい夫婦との邂逅における会話は楽しくさえあった。

でも、もう、帰りたい。

わたしが子どもであったなら「もう帰りたい」と泣くことも出来たでしょう。
大人たちは困惑しながらも、さっと新居に寄って早めに帰るという選択肢を取るだろうし、そのことで内心(早く帰れる!)と思ってホッとする大人もいることでしょう。

ただし、わたしは、内実は全然ちゃんとしていない自覚があるとは言え、見た目はしっかり、40代の女性です。

全然、帰りたいなんて思ってないです
ほんと楽しいです
お招きありがとう
わあ、キッチンきれーい
あ、お茶おいしい どこの?

という感じで「帰りたい」からの3時間(3時間!)を過ごしたのでした。
(でもたぶん、無理してたのバレてる)

大人に擬態するって、大変。

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