花が好きだから、切り花は買わない
このくらいの時期になると、祖母のことを想います。
春と初夏の間。いい季節。
祖母が亡くなる少し前、わたしは祖母が徐々に弱っていく姿を見るのがいやでした。
「もう会えなくなるかもしれないんだから、病院にはなるべくたくさん通ったほうがいい」
と言われた、から会いに行ったけど、祖母と会っている間も、わたしは辛くて辛くてしょうがなかった。
わたしは、祖母のことが好きだったからです。
好きなのに、少しずつ死に向かっている姿を見るのが、切なかったのです。
わたしは動物が好きです。
人間の赤ちゃんより、犬や猫や、ミシシッピアカミミガメやニホンヤモリやアメフクラガエルやアマミホシゾラフグのほうがかわいいと思っています。
ただの個人的見解です。
わたしは人間として生まれたのに、人間の子どもをさほどかわいいと思わない。
思いたいけど、思えない。
思えないものは、仕方がありませんね。
わたしは動物が好きだから、動物が死んでいく姿を見たくありません。
「動物の死が辛い」なんて、牛も豚も鶏も食べておいて何をか言わんやという話ですが、少なくとも食べもしない動物の命を奪うことは、なるべく避けるようにしています。
ペットも飼いたいけれど、いずれ看取ることになる日を思うと今のところ積極的になれません。
わたしは植物もまた、好きです。
でも花屋さんで買ってくるのは観葉植物か多年草ばかり。
何故かと言うと、それぞれに適した場所をあてがって、手を掛けて大事に育てれば、長い間生きていてくれるからです。
切り花は、買いません。
本当なら土から養分を吸って陽を浴びて、今年の花が終わっても来年また咲くかもしれなかった花を、途中で切って花瓶に差して愛でることに少なからず抵抗があるからです。
いくら手を尽くしても段々輝きを失って、少しずつ枯れていく花を見ているのが、わたしには辛いのです。
祖母の病院に行くのがしんどかったのと、これは同じ理由です。
noteが好きな人は、玄関に花を飾るような丁寧な暮らしをしている人が多い、気がします。
だからこのことは、書かずにきました。
いやな気持ちになる人がいるかもしれないと思いました。
でもこれは、わたしのただの個人的見解。
子どもをかわいいと思えないのと同じです。
共感する人がいても、いなくてもいい。
わたしにとってこれは、とても率直な感想で、結論なのです。
花が好きだから、切り花は買わない。
あくまでも、わたしは。