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女のリアリティ:あなたがしてくれなくても[ドラマ]

女は嫉妬深い生き物
女の敵は女
妻の怒りは夫ではなく
寝とった女に向かう

…といったことを耳にする度
そうか?と思ってきました。

わたしは、かつて嫉妬深い彼氏にものすごく執着されて戸惑ったことがあるし、今まで会社で男の嫉妬も嫌と言うほど見ました。

つまり、嫉妬の感じ方もまた
性差より個人差のほうが大きい
のではないか、ということ。
(嫉妬←めっちゃ女偏なのが気になるけど)

もし本当に、女の嫉妬が相手の女に向けられることが多かったのならば、それは
権力を持つ男に口答えできなかった
もしくは男に刃向かう女は魅力的ではない
と擦り込まれていたからではないでしょうか。

男に向けることが許されない怒りを、相手の女に向けざるを得なかったのでは…

いや、描き手の勘違い、思い込み、主観、もしくはフィクションもあるんじゃないの?と思っています。


「あなたがしてくれなくても」というドラマが放送されています。

原作  :ハルノ晴
脚本  :市川貴幸、おかざきさとこ、黒田狭
演出  :西谷弘、髙野舞、三橋利行
放送局 :フジテレビ系
放送時間:木曜よる22:00〜

※以下、先週放送回までのネタバレを含みます。

セックスレスがテーマですが、わたしが視聴していてハッとしたのは、主人公:みち(=肉体的不倫を夫にされた妻であり、自身も精神的不倫を会社の上司としている)の、会社の後輩、華です。

華は、みちの不倫相手であるところの上司に前々から目をつけていて、あわよくば美徳をよろめかせたいという願望をみちに語っていました。
でも、上司が好意を寄せたのは自分ではなく、みち。

この時点で、一昔前のドラマだったら
華は嫉妬に燃えて、みちと上司の密会場面を写真に撮って社内にばら撒いたりするでしょう。

でも、華はそんなこと、しません。

みちに直接
「いつか私じゃなくてもバレますよ。気を付けてください。」
と忠告した上で
「先輩がこれから進む道は茨の道です。それでも進むっていうなら私も応援しますけど。」
と伝えるのです。

その後も、上司との関係を断ち切ろうとするみちに、上司との話し合いの場をさりげなく用意してあげたり、上司の奥さんと鉢合わせて打ちのめされたみちを気遣ったり、夫の不倫を知ってショックを受けたみちに付き合ってカラオケで話を聞いてあげたり、します。

いい奴だな!
(「奴」は男っぽいけど、女偏だ)

また、夫の不倫を知ったみちは今のところ、あくまで夫に対してショックを受けていて、華のお陰もあって自分の言動にも夫を追い詰めるところがなかったか、自問自答している段階です。

つまり、みちの悲しみは一先ず「相手の女」に向かっていない。
一方で、上司の妻の怒りはどうやら、みちに向いていそうな雰囲気です。

この辺りに「個人差」がきっちり描かれている気がします。

そう、つまりは
嫉妬の程度も向け先も
性差より個人差であって
みんなちがってみんないいのだ!と。

女だから
男だから
同性愛者だから
異性愛者だから
白人だから
黒人だから
未婚、既婚、子持ち、子なし、◯◯出身、◯◯教徒、◯◯病

だからきっと…だろうとか
だからどうせ…なんでしょ?とか

そういうニオイを感じるとわたしのセンサーは反応するように出来ています。

決めつけばっかりの物語はもう腐るほど見たからお腹いっぱいだし、だからわたしはちゃんと個人が描かれている話にしか興味を持てない。

リアリティって、そういうところで感じるものだと思うのです。

今日の放送では、上司の妻がみちに怒りをぶつけそうで、どうやらその兆候に華も気付いたみたい。

華はどうするのか。
どう出るのか。

楽しみです。

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