見出し画像

歓迎会は誰が為に

新人さんの歓迎会を開くことになりました。

店選びについて意見を求められたので

1)風通しのいい空間(オープンテラスとか)なら精神的負担が軽いのではないか

2)新人さんがお酌や料理の取り分けをしなくて済むよう、コース料理がよいのではないか

3)ダラダラ長引かないよう時間を区切った方がよいのではないか

と提案しました。

そうしたら

考えすぎじゃない?
気ぃ遣い過ぎだよ
そんな条件つけられたら店選び大変だよね

と笑われました。

笑われて、わたしはなんだか
悲しくなってしまったのです。

狭くて隣と肩が当たってしまうような密室で
何故か偉い人の隣に座らされて
歳の離れた上司や先輩たちに
お酌したり取り分けたりしないといけなくて
うまく出来ないと緩くお叱りを受けて
面白くない自慢話や
下品としか思えない武勇伝に
「すごいですねー」と相槌を打ちながら
終わりが見えない空間で
笑顔を張り付けて耐え続ける

それが社会に出たばかりの子にとって
どれだけしんどいことか
伝わらないんだな…と思ったからです。

ひとしきりションボリしたところで
わたしは気付きました。

分かるわけ、ないと。

これは、わたしが体験した
わたしの苦しみだから
人に分かる筈ないのです。

もしかしたら
新人さんは、大丈夫かもしれません。

わたしが以前「守ってほしいわけじゃない」と書いたように、過保護にしてもらわなくても別に全然平気ですよ、と思うかもしれない。

だって彼女は、わたしではないのだから。

たぶん、わたしは
かつて、自分がしてほしかったことを
しているのだと思います。

ちょっとそれ、セクハラですよ。
お酌や取り分けを女性にさせるなんて、時代錯誤ですよ。
誰の為の歓迎会だと思ってるんですか。
さ、そろそろ切り上げましょう。
あんまり長引くと疲れちゃうよね。

わたしはあのとき、そう言って貰いたかった。
そういう先輩が、欲しかった。

新人を歓迎する為に開かれた筈の会で当然の如く労働を求められ、誰1人助けてくれず、

ほら、はやくお酌して。
気が利かない新人だな。
おれのエビチリ、エビ少ないんだけど。

申し訳ありません!
今後がんばります!
ご指導よろしくお願いします!

と笑いながら泣いていたあの頃の自分を、わたしは今、新人さんを守ろうとすることで癒したいのかもしれません。

そんなわたしの胸の内を、
周りの人が分かる筈ありません。

わたしの苦しみは、わたしだけのもの。

もし深く共感してくれる人がいたなら
それは希少な出会いであって
心から寿ぐべきことだと思うのです。

↓「守ってほしいわけじゃない」と書いた記事はこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?