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おすすめを知りたいな

いつかのデート、
多分、2回目か3回目かのどちらか、
本屋さんに足を運びました。
日本語の試験の勉強のための教材を目当てに。
語学教材のセクションはあまり広くないので、
彼女はスーパーの生野菜を選ぶような早さで選んでしまいました。
それなら、と、
お互いのおすすめの本を一冊紹介し合おう
そういうことになりました。
僕は普段日本語の本しか読みませんが、
その本屋さんに置いてある洋書の中から、
日本語でも出版されているものを選ぶことにしました。
日本語の本は読めない
彼女がそうおっしゃいましたから。
おすすめの一冊を絞るのは大変難しいことなので、
そのような縛りができて少しばかりほっとしました。
ですが、そこの洋書の蔵書数は必要最低限といった感じで、
選ぼうにも少なすぎて、
僕はあまり迷うこともなく、
太宰治の、人間失格、  no longer human、
を選びました。
クラシックの部類に入りますが、
日本人の精神性が垣間見れて面白いんじゃないかと思いました。
他に頭に浮かんだのは、
ベルンハルトシュリンク、朗読者
吉本ばなな、キッチン、TSUGUMI
水村美苗、本格小説
谷崎潤一郎、陰翳礼讃
などなどでしたが、見つからず、人間失格に。
彼女のおすすめはその本屋さんには置いておらず、
悲しむ彼女は泣く泣くハリーポッターを。
彼女はハリーポッターを繰り返し観て、読んで、聴いて、
心から愛しておりますが、
できるなら他のものを選びたかった
とのことでした。
彼女が選びたかったものは、
Markus Zusak、The Book Thief
でした。
やさしい本泥棒
と訳されています。
ナチス政権下の一般家庭、また主人公である少女を、
死神目線で描いた長編です。
急死してしまった幼い弟を想い、
一冊の本を盗み、本泥棒となった少女の話で、
本の力、言葉の力を感じられる一冊で、
とても素晴らしい一冊です。
そのデートでは見つけられなかったので、
後日、大きな本屋さんに行って購入しました。
洋書しかありませんでしたので、
それを購入し、読了しましたが、
まあ、骨折りな読書体験でした。
英語を話すのと、読むのとでは、
全くの別種だと思っている僕であります。
共感される方はいらっしゃるでしょうか。
さておき、
彼女のおすすめの一冊は、
僕の中の大切な一冊として小さな本棚に収められました。
物語のおもしろさはもちろんですが、
それに加えて、
彼女はどうしてこれが好きなんだろう、
という視点でも読むことができたので、
2倍楽しめた気がします。
彼女は彼女で、
そのデートの日に、
僕がおすすめした本を早速購入してくれて、
すぐに読み終えてくださいました。
どうしてこの本が好きか分かったわ
そのようなことを言っておりましたが、
どこか僕と重なるところがあったのでしょう。
詳しくは教えてくれませんでしたが。
数多ある本の中から、
おすすめの一冊を紹介し合うのは、
その人と人となりを垣間見れるようで、
大変楽しいものだと感じます。
おすすめの一冊を増やし、
共有していきたいですね。

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