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日本が元気出ない原因は?〜私見です

去年、初めてタイのバンコクに行った。

そこにはニッポンの昭和があった。

昭和40年代の日本は、経済の上昇気流に乗って活気があった。

明日は今日より良くなるって信じて、パワフルに生きていた感じがする。

ひとりひとりのエネルギー量が多かった。

今よりかなり雑でいい加減、小さい事は気にせずどんどん成長していった。

バンコクの空気感はまさにそれで、圧倒されるけどなんか懐かしい。

実際はタイの経済成長率は日本と変わらないのだが、国の活気がすごかった。

夫婦で気に入ってしまい、また行こうということになった。



今の日本

あの頃の日本と今の日本は全く違う。

今の日本は成熟した社会といえるのかもしれないが、やっぱり元気がない。

経済が低迷している理由を、学者やアナリストが色々言う。

あの時日銀の総量規制政策が間違っていたからだとか、消費税が導入されたからだとか、企業が内部留保を溜め込んだからだとか、、、、

根拠はないけど、景気って『気』だから、みんなの『気分』が大きく働く。

みんなで節約モード、ずっとデフレで給料上がらず、みんなで元気なくなっちゃった今の日本。

振り返ってみると、昔の日本人はもっとイケイケどんどんで、ブレーキ踏む人が少なかった。

なんの保証もないけど、「大丈夫!やるぞ!」って突き進んでた。

そしてバブル崩壊。

痛い目にあって、辛い事があって、みんな猛反省した。

「調子に乗ったらダメだ」って。

私もそう思って生きてきた。

でも、もしかすると反省が行き過ぎてるのかも。

物事はなんでもバランスが大切だ。

調子に乗るのもダメだけど、慎重過ぎるのもダメなんだろうなぁ。

慎重過ぎて、ずっとブレーキばかり踏んで、全然前に進めなくて、元気がなくなって、今に至る。


景気は『勢い』

アベノミクスが始まった時、これから日本経済が『勢い』づくと言っていた人が沢山いた。

デフレ脱却と経済成長を目指すとした、あの有名な『三本の矢』。

第一の矢『大胆な金融政策』
 → 日銀が円を大量に刷ってインフレを誘導する、異次元の金融緩和。
  物価目標2%を実現 ✖️

第二の矢『機動的な財政政策』
 →デフレ脱却をスムーズに ✖️

第三の矢『成長戦略』
 →経済を力強い成長軌道に乗せる ✖️

当時の私は政権のやることに懐疑的だったが、今となって改めて見てみると、これが全部実現できていたら確かに経済成長できただろうなぁと思う。

第一の矢の物価目標2%が実現出来なくて、10年間もそこから進めなかった。

結局、経済成長は絵に描いた餅になってしまった。

日銀が日本国債を大量に買い入れ、国の借金といわれる国債発行残高は1000兆円を超えた。

実体経済は冷え込み、株価だけが上がった。

最近よく聞く話だが、やはり消費税を5%→8%→10%と上げてしまったことで、せっかく『経済改善の芽』が出たのを潰してしまった、というところが正しいのではないだろうか。

自分の名前を冠した経済政策を潰すようなことを、なぜしたのだろう?

「財務省が悪い」とか、「アメリカの言いなりになっている」とか、色々言う人がいるが、本当のところはわからない。

表向きは少子高齢化で社会保障費が足りないから、「消費増税分は全額社会保障費に充てる」と言っていたが、実際はほんの一部しか社会保障費に充てていない。

景気は勢い。

上向の勢いがつけばガンガン上がっていくが、下向きの勢いがつくとどんどん下がっていく。

消費税率アップは、低体温で死にそうだった人がやっと少しだけ体温が上がった時に、氷水を浴びせかけたようなもの。

下向きの勢いが増してしまった。

税収だけは過去最高って、一体なんなんだろう。。。

トップの責任

昭和の日本は良くも悪しくも今よりいい加減だった。

20年くらい前だろうか、アメリカの記事を読んで驚いた。

レストランでコーヒーをこぼされた客が裁判で勝って、億円単位の賠償金を得たというものだった。

「アメリカは訴訟社会だから」という記事だったが、なんだそれ?と思った。

なんでもアメリカの真似をする日本でも流石にそんな訴訟は起きないが、理不尽な苦情を入れる顧客が多いらしい。

そのためなのか後で起こりうるリスクを事前に想定して、書面にして了承のサインをもらうことが当たり前になっている。

それ自体は別に悪いことではない。
いい加減さが減ったとも言える。

でもリスクを未然に察知して対応するために、日本が得意な小さい事にフォーカスして縮こまった社会になっているような。。。

『木を見て森を見ず』社会じゃないだろうか。

ところで『コンプライアンス』とは法令遵守のことだ。

企業が法律を守るのは当たり前。

でもなんかやってる事が変だなと思う。

今は顧客が企業から、小さい字で専門的な法律用語がたくさん書いてある紙を読み上げられて、説明を受けた証拠のサインをしろと迫られる。

本当に全て理解している人はほとんどいないが、サインする。

法律にそれをするようにと書いてあり、企業の保身を法律が推奨しているように見える。

企業はリスクをとってリターンを得る。

リスクを取るときに責任を持つのがトップの仕事だ。

今はリスクを減らしてリターンを取ろうとしている。

そしてトップは責任を取らない。

〇〇責任者といわれる人が、一人で責任を負わされ首を切られて終わりってことが多いように思う。

日本社会で減ったものは、『潔さ』と『誠実さ』ではないか。

口先でうまく誤魔化すことが賢いことのように言われ、後でなんとでも解釈できるような表現で発言する。

社会がどんどん縮んでいく。

米ギャラップ社の調査によると、仕事への熱意や職場への愛着を示す『エンゲージメント率』が、日本は145ヵ国中最下位、しかも4年連続だ。

今の若い人は個人主義でプライベートを重視しているからとか言う人がいるが、それは違うと思う。

昔から、部下の手柄は自分のもの・失敗は部下に押し付ける、そんな上司はいた。

でもそういう人間は周囲からの信頼を得られず結局のところ失脚していく、昔の日本はそんな空気感だった。

ふと気づけば、

実力ではなくうまく立ち回り権力の座を掴むことが賢い行動、
正直ものがバカをみる、
トップの顔色をうかがい反対意見は言わない、

そんな社会になってるように感じる。

努力が正当に評価されず、ズルい人間が出世する会社では、誰だってやる気も会社への愛着も無くなるだろう。

もちろん素晴らしい上司のもとでやりがいを持って働いている人もいるだろうが、少ないと思う。

日本全体がそんな重い空気に包まれていたら、とても浮き上がれる状態ではない。

日本人は本来、仕事に対する忠誠心は素晴らしいものがあるはず。

真面目で誠実。

部下を正当に評価して、何かあった時には逃げずにきちんと責任を取れるリーダー。

この数を増やす事が、みんなの気分を上げ、日本の景気を上げる第一歩となる気がする。

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