多様性｜りおん

①ある朝、コップは散歩に出掛けると、見慣れない姿のモノを見かけた。コップの血筋は好奇心が旺盛である。昔から王国には、〝未知なるモノに出合ったら逆立ちして見よ〟との言い伝えがあった。

②コップ：なんだか変テコリンで気味がわるい。片耳だけついてるなんて、ゴッホに憧れてるのか？　でも‥見たことのないあのフォルム‥なんだかそそられる‥。あ、そうだ！

③コップが逆立ちすると、勢いカップも半回転♪「きみってエッフェル塔みたいでステキ」今度はカップの方から話しかけてきた。コップは驚きのあまり、ポロッと本音をこぼしちゃう。「きみはなんだか変わってるね。だけどぼくの故郷が見えるの？かつてぼくは、パリのカフェにいたピカルディグラスなんだよ！」

④コップは、思わぬカップの一言に、己の忘れかけた姿をくっきり想起した。それを見たカップは、喜びくるっ♪ と逆さに。　するとカップも、今は亡き相棒の上でうたた寝していたカフェの休日を思い出した。「ぼくら意外に共通点があるんじゃない？」すっかり心をひらいたコップがそう言うと、カップはまた「ソ〜サ〜♪」と歩み寄るのだった。