【短編小説“モデル”】
どっ、振動が伝わってくるほどの乱暴な音でまどろみを解かれた番は不機嫌な表情を向かいのシートに向けた。番はセーラー服にふくらはぎまでの白い靴下、ピンク色のラインの入った白い運動靴、長い脚を開き気味にして無造作に投げ出した姿に目を凝らした。-子供か。しかたない、といった表情でつぶやいた。金曜日の午後二時、車内に客はまばらだった。番と彼女以外には勤め人らしい男が数人だった。いずれも相方がいる様子もなく、目を閉じているか、携帯端末の表面に指を滑らせている。はぁ、少女は不意にもらした