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XXXXL2の解説・ひとこと


はじめに

TOKIQIL2お疲れさまでした。本当にお疲れ様でした。「XXXXL2」原案と、全体謎部分の制作のClearです。

2/18に、渋谷で1日限りの謎解きアパレルブランドである「TOKIQIL2nd collection」が行われました。
そしてその会場と外では「XXXXL2」という全体戦が行われていました。
TOKIQILはその名の通り下北沢で行われた第1回に次いで2回目の開催であり、「XXXXL」も2回目の開催になります。第1回がどんなことをやっていたかはこちらの記事から見ることができます。



さて、この記事では「XXXXL2」で使用された問題(分割謎3問、最終問題1問)についてコメントしていきます。
この先に問題画像が出てきますが、前回と同じく問題画像の少し下に解答と解説、その少し下にコメント、という形式になります。自力で解きたい方はネタバレ注意。


分割謎1

当日チケットを持ってTOKIQIL2会場に来場した人(現地班)は、ダイスを振ってゲームに参加することができました。
その結果により分割された謎の一部を入手でき、それをSNSにハッシュタグをつけて発信、Webで待機していた人(Web班)が整理して解き明かす、という流れが行われていました。
(詳しい流れは後述の「最終問題」を参照)








解説

「橙の盤面を通る矢印の経路から、英単語が導出される」と考える。
アルファベットの下にある矢印が通るマスに注目すると、「通るマスの数が、英単語のアルファベットを数字に直した時の総和」になっていることが分かる。
(「FAN」の矢印は21マス通っており、F+A+N=6+1+14=21。
「FEED」の矢印は20マス通っており、F+E+E+D=6+5+5+4=20となっている)
ここから、「橙の盤面には見えない線が隠れており、その線をまたぐと文字が区切れるのでは?」と推測できる。

つまり、矢印の通るマス目とマス目の間について、「線がある」「線がない」の2通りがあり、その線があるかどうかは「FAN」「FEED」の例示で確定する、ということである。
実際に検証してみると、以下の画像のようになる。

赤い線は「線がある」と確定し、線がない部分は「線がない」と確定している。
点線はまだ「線があるかないかわからない」部分。

「FAN」「FEED」2つの盤面の情報を統合すると上の盤面のようになり、答えとなる単語が導出できるようになる。
(確定していない線が存在するが、解答を導出する矢印はその線を通らないため解答に影響しない)
線が通るマス目の数は「4マス」「9マス」「3マス」「5マス」と区切られるため、これをアルファベットに直した「DICE」が答えとなる。



コメント

図形と矢印の謎。読み取れる情報がかなり削られている謎です。

3問の分割謎の中では最も難易度の低い立ち位置に想定していました。一切簡単ではないのですが他2つが強すぎる。

2つの例示は「解答方法の推測」であると同時に、「盤面の確定」の役割を果たしています。単なる例示としての役割だけではない、と考えることができるかどうかが重要でした。

「3×7から連想される、曜日の頭文字3文字を左から並べると、矢印が通った場所の一部にFANとFEEDが現れる」という偶然によるミスリードが存在してしまっていたようです。罠すぎる
これはあらかじめ制作時に気付いていれば「盤面を反転させる」などで潰せたミスリードでした。反省。

もともとこの謎の原案は、この企画用に「ちょっと難しめの小謎」として作成しました。そこから紆余曲折あって小謎が不要になり、全体謎用に魔改造したものがこちらになります。改造しすぎた。

今回Twitter上での反応を見ながら「全体的に難しくしすぎた……」と反省していたため、ノーヒントで突破されたのを見たときに「偉いぞ~~~~~」とテンション上がっていました。実際凄い。





分割謎2








追加ヒント

追加ヒント






解説

背景にある点には座標のようなものが振られており、それぞれ「アルファベット1文字」と「座標の位置」が記されている。
Yが(73, -16/3)で、Zが(76, -11/2)であることから、この2つの位置関係を考えると、「Yから(3, -1/6)移動するとZの位置に行く」とわかる。
これらとY, Zの点のグラフ的な位置から、「Zは下の赤い線から上に3/2の位置にある」と推測できる。
そして同時に「原点となる(0, 0)はZから左に76、赤い線から上に7の位置にある」ともわかる。

そして、見切れてはいるが右に数字の「2」と「0」が並んでいることが分かる。グラフの数値が右に書いてあることから、「Zは最も右にある点である」と推測できる。

以上の、
「Zは下の赤い線から上に3/2(1.5)の位置にある」
「原点となる(0, 0)はZから左に76、赤い線から上に7の位置にある」
「右に数字の「2」と「0」が並んでいる」
「Zは最も右にある点である」
という事実から、このグラフは「世界終末時計」を表しているのではないか、と推測できる。

世界終末時計とは、「人類の終末を『00:00』としたとき、終末まで残り何分何秒か」
を表したものである。
今(2023年)から76年前である1947年に、「終末まであと7分」として創設された。

1年に1回、『原子力科学者会報』の研究者たちが、
世界各国の核の動向や気候の変動などを元に、時刻の変動を行う。
2021年、2022年と過去2年間は変動が起こらなかったが、
2023年1月24日に最新の変動が起こり、過去最短となる「残り90秒(1.5分)」と発表された。

つまり「1947年、残り7分」を原点である(0, 0)としたとき、各変動タイミングの点がどの位置にあるか、をグラフの座標として表したものが背景に書かれている。(数字, 数字)は(何年後か, 何分移動したか)を表す。

Yは(73, -16/3)で、これは「1947年、残り7分」から「73年後」の「-16/3分」、つまり「2020年、残り5/3分(1分40秒)」を表している。
Zは(76, -11/2)で、これは「1947年、残り7分」から「76年後」の「-11/2分」、つまり「2023年、残り3/2分(1分30秒)」を表している。

このように考えることで、中央にある5つの座標が示す点が定まる。

次に、アルファベットの意味を考える。
詳しく調べると、「初回を含め、過去に時間が変動した年」が2023年で26回目である、という事実が分かる。
つまり、
初回である「1947年、残り7分」をA、
2回目である「1949年、残り3分」をB、
……
26回目である「2023年、残り1分30秒」をZ
と対応させることができる。

以上から、5つの座標を求めてアルファベットへと変換する。
(48, 7)は「1995年、残り14分」で16回目、「P」となる。
(16, 5)は「1963年、残り12分」で5回目、「E」となる。
(0, 0)は「1947年、残り7分」で1回目、「A」となる。
(6, -5)は「1953年、残り2分」で3回目、「C」となる。
(16, 5)は「1963年、残り12分」で5回目、「E」となる。

これらを繋げて、答えは「PEACE」



コメント

終末時計とアルファベットの謎。手がかりが少なすぎる。

26回目の変動が起こったのが今年1月末のことなので、この出題方法(アルファベットとの対応)は地味にタイムリーだったりします。

実際の出題時、問題の印刷の問題で「画像右の数字」が実際の画像以上に削れてしまっていました。ごめんなさい。
しかし削られた状態でも「2と0」を読み取れている人が存在しました。普段から一部削られた数字を読み取ることを生業としてらっしゃる?

それらしい仮定をいくつか立てると細かいヒントが発生する、という謎のつもりでしたが、仮定を立てるには表現や例示が少なすぎたかも。反省。

終末時計、過去には進む以外にも戻ったりしていたのですが、最近は進む一方ですね。
過去に最も長くなった時には「17分前」まで押し戻されたことがありますが、最近の終末時計の図が「45分~00分」の15分部分を切り出していることを考えるともうそこまでは戻らないんだろうなという気持ちになります。

答えの「PEACE」という単語、何か思想が強い謎に見えますが、大きな他意はないです。
ただ、この答えのアルファベットが結構原点より上の方に分布してるのはちょっと面白いですね。
(半分近く原点以上なのでそう珍しくもないかもしれませんが)


分割謎3







追加ヒント1

x=10











追加ヒント2

追加ヒント2









解説

まず、上の数字を考える。
この数字は2文字で区切られており、各行10個の数字が並んでいる。
基本は2桁であり、3行目の最後の1つのみ「913」と例外的に3桁である。
また、数字ではなく「x」となっていることがある。
そして、各桁の数字の合計は必ず10を超えない。(これも「913」のみ例外)

これらの数値の特徴から、この数字の分布は「ボウリングの倒したピンの数」ではないか、と推測できる。

ボウリングとは、ボールを投げてピンを倒す球技の一つである。
楽しい。

つまり、「x」はストライクを表しており、「913」は「最終フレームのみ、最初の2投で10以上倒したときのみ、3投目を投げることができる」というルールに基づいた記録である、と考えることができる。

倒したピンの数が分かったことにより、「4人分の1フレームから10フレームまでのスコア」を計算することができる。

4人分のスコアを並べたもの

次に、下の数字の意味を考える。
「≡0(mod2)」という書き方は「合同式」と呼ばれ、「2で割った時の余りが0」という意味の記号である。
「■≡0(mod2)」という書き方や、「1~3」「5~9」などの数字の分布を、その上のボウリングのスコア表と対応させて考えると、これは「各フレームのスコアのうち、その数字が対応する部分のみ黒く塗る」という意味であると解釈できる。
つまり、4つの式は以下のようになる。

10フレームまでのスコア表を抜き出し、対応する合同式が示す倍数部分のみ黒く塗る

すると塗った部分がアルファベットとして読めるようになる。答えは「bowl」

コメント

ボウリングmod謎。

解く順番としては「上の数字を解読してから」「下の数字で読む」という流れです。上の数字の分布からボウリングを想起する、というのを想定していたのですが、下の数字がミスリードを引っ張ってしまっていたようです。ごめんなさい。
「x = 10」というヒントがミスリード方向に補強するのは予想外でした……
この問題に関しては、ヒントや答えを見た際に「数字からボウリングは閃けたなあ」と思った人が結構いると信じてます。いてくれ。

ボウリングのスコア計算式、変わってますよね。
基本は倒したピンの数の合計で、スペアを「10+その次に倒したピン」、ストライクを「10+その次に倒したピン+その次の次に倒したピン」として計算するとスコアが出ます。
基本的に自動で機械が計算してくれるし、考えたところで多く倒すのが目的なのは変わらないので、実は詳しくは知らなかった、という人も多いかも。
かなり非自明な挙動をするので結構好きです。

実は13年前にもボウリングモチーフの謎を出したことがあります。セルフリメイク。

四則演算記号に見えるねという謎。
題材を知ってると結構露骨に見えるけど、意外と普通にムズい

こう見ると比較的いろいろなところが親切(?)ですね。
同じ題材でもヒント量や見せ方で全然難易度は違ってくるという例でした。






最終問題

こちらの出題に関しては、出題方法や前提となる情報が非常に多いため、割愛いたします。
詳しくは先日公開した「最終問題のみの記事」を参照ください。
「前提知識」「検証によって得られる知識」の2つの項目のみを見ると、解くための前提知識は得られるはずです(具体的な解答はともかく)。


下に問題画像と、上記の記事に載っている解説を非常に簡潔に説明した解説があります。








解説(超さっくり)

詳しくは先述の記事の「最終問題の分析」の項目を参照ください。

簡単にまとめると、

  • 現地プレイヤーが振っていたサイコロは、見えないすごろくの盤面とリンクしていた

  • ダイスを振った結果得られるスムージーによって、すごろくの盤面を特定する必要があった

  • 盤面には何も書かれていない空白のマスが5つあり、盤面の何マス目にあるかを特定することでアルファベット5文字の答えが導けた

です。


コメント

エアすごろく謎。
解いていただきありがとうございました。

3つの分割謎が解かれ、最終問題が完成した(=出題された)のが当日の19:11。
このタイミングから全員vs最終問題1問という体制になりました。
非常に多くのデータを整理して答えの手がかりを探す必要がありますが、時間も非常に限られています。

「ダイスとスムージーの素材、制限時間の対応関係」「開始時の公式からのツイートが重要そう」と1つ1つ紐解かれていき、そして出題から1時間後、閉店間際に「BEGINが正解ではないか」という推測のツイートがなされます。
その後検証も行われて「BEGINが解答である」という確証へ近づき、20:15ごろに現地での解答を確認、決着となりました。

最後の情報収束はリアルタイムでずっと追っていました。凄かったです。


当日、裏ではスタッフが「出たサイコロの目を入れると、次にできるスムージーが出力され、新たに盤面の状態が保存される」という専用のLINE公式アカウントを操作し、スムージーを作成していました。
このシステムはいそきちさんに構築していただきました。ありがとうございました。
寝て起きたら半日でできていました。凄い。

今回の謎群は、比較的「人数が少なくても解ける謎」を目指して作成しました。比較的。
というのもTOKIQIL2の当日、2/18には某某某某某某某某某χの最終予選が行われており、名うての謎クラ約300人が全体戦に参加できないことが確定していたからです。
このため、題材や解き方を閃いた後は大きな作業を行わないような構造にしました。
最終問題以外は。最後ばかりは閃き一本で即解かれちゃうことを恐れ、ゴリゴリに作業が絡んできます。
実際ギリギリでの解答となったのを見ると、その調整はある程度機能していたように思えます。良かった。


最後に

解説は以上となります。
当日ご参加いただいた方、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

公開めっちゃ遅くなってごめんなさい。


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