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『ザリガニの鳴くところ』ディーリア・オーウェンズ著

全世界1500万部突破のベストセラー 2022年映画化
2021年 本屋大賞翻訳小説部門第1位

ストーリー
1969年、ノースカロライナ州の湿地帯で、裕福な家庭で育ち将来を期待されていた青年の変死体が発見された。容疑をかけられたのは、‟ザリガニが鳴く”と言われる湿地帯でたったひとり育った、無垢な少女カイア。彼女は6歳の時に両親に見捨てられ、学校にも通わず、花、草木、魚、鳥など、湿地の自然から生きる術を学び、ひとりで生き抜いてきた。そんな彼女の世界に迷い込んだ、心優しきひとりの青年。彼との出会いをきっかけに、すべての歯車が狂い始める…。

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湿地帯に住む少女の孤独と街に住む住人の少女に対する偏見を通して見える差別の問題や偏見。環境が与える成長への影響が描かれている。

さらには、動物学者でもある著者が環境問題にも触れているようにも読める。
自然動物や昆虫類の描写のリアリティーがすごい。

著者は70歳を超えているおばあちゃんで、湿地帯の少女の父親は第2次世界大戦で負傷した兵士の荒れた生活にリアリティーを感じる。

クラークの母の忠告に「街を走ってはいけない」というのがある、
理由は泥棒だと思われるから。
この言葉が妙に心に残った。圧倒的な偏見。圧倒的な暴力。圧倒的な敵意。圧倒的な惨めさ。


この環境で生きる人への影響が描かれているように思う。
良い意味では自然への詳細な観察で人より優れている点、
悪い意味では対人恐怖症のようになる。

偏見や思い込みが自分に無いと感じた時に読みたい本。

映画は見ていないが、小説では読み取りきれなかった自然の雄大さや圧倒的な迫力を魅せてくれるという感想を読んだので見てみたい。

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