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『対岸の彼女』 角田 光代 著

STORY
専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。結婚する女、しない女、子供を持つ女、持たない女、それだけのことで、なぜ女どうし、分かり合えなくなるんだろう。多様化した現代を生きる女性の、友情と亀裂を描く傑作長編。

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本の紹介文にある内容を上記に書いたが、内容は違うように感じた。
対人関係の小説だと思う。

周りに合わせて生きずらさを感じながら大人になった小夜子と、学生時代に秘密を持つ陽気な女社長の過去。

新しいコミニティーに入って模索しながら人との距離感をうまく掴めなかったり、自分の立ち位置を探したりする。
特に、学生時代は感じていた不安感みたいなものが描かれている。

完璧を求められ応えようとする主婦。
完璧を求める旦那。
小説自体が少し古いものなんで少し前の感覚で描かれている。

それでも、完璧に応えようとする人。
相手に完璧を求める人はいると思う。
もっと相手に求めないことは必要だと感じる。


読んでいて学生時代を思い出し、昔感じた憤りや無力感や恐怖。逆に自由を感じたりしながら過ごしたことを思い出した。

平日に学校を早退する時に感じた通学路の静けさや、初めて夜遊びに出た時の非日常感みたいなのを感じながら読んだ。

相手にわかってもらえない自分、大人になっても愚痴りあっている人を見て違和感を感じる人は読んでほしい。
大人になるって年齢ではなく考えがそうするんだなって分かる小説になっている。

そして、対岸の彼女に会いに走りたい。僕の場合は彼か。

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