見出し画像

『Ank: a mirroring ape』 佐藤 究 著

STORY
二〇二六年、京都で大暴動が起きる。京都暴動ー人種国籍を超えて目の前の他人を襲う悪夢。原因はウイルス、化学物質、テロでもなく、一頭のチンパンジーだった。未知の災厄に立ち向かう霊長類研究者・鈴木望が見た真実とは…。吉川英治文学新人賞・大薮春彦賞、ダブル受賞の超弩級エンタメ小説!

この小説を読んで思うことは、この小説はどうやって書かれているんだ?と思った。
と言うのは知識が先なのか、ストーリーが先にあったのか?
考えずにいられないような知識のレベルがすご過ぎる。

そして知識があったにしても、この事実をこんなエンタメ小説に昇華させるストーリーテリング力はすごい。

静かな序盤から急に陰惨なストーリーになり引き込まれ、救いがあるのか不安になる。
状況は常に最悪。止める方法もなく、どんどん物語は進んでいく。
とにかく暴動の現在と過去の出来事を行ったり来たりして全体像が見えてくる。
そして、最後の最後まで解決方法が思いつかないまま終盤ギリギリまで進んでいく。

僕はもちろん医学や霊長類の知識は全然ないが、素人から見たらどこにも破綻がない。
納得できる知識にしっかり物語が混ざり真実味がすごい。

600ページを超える小説で読むのが得意ではない僕は長い期間読んでいたが、ずっと次の気になる展開で最後まで楽しく読めた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?