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【エッセイ】紐、それは20世紀間最大の発明

村田喜代子さんの『縦横無尽の文章レッスン』という本の中に、屁理屈でもなんでもいいから人を納得させる文章を書くという練習で、ここ2000年の間で発明された最大のものを書くというものがありました。
それをやってみました。
制限時間は40分。
ここは人に見せる場なので、そのレベルまでは直したつもりです。
他にやってみたい方がいましたら、#20世紀間最大の発明 で。

 紐がいつ発明されたのかは知らない。人類とともに生まれたのだとしたら、それは2000年どころの話ではない。それでも私は紐以上に人類にとって必要不可欠な発明はないと言い切る。紐は人類の生と死に関わるものだからだ。
 紐は何かを結んだり、繋いだりするものだ。例えば、舟を繋ぐ。例えば、橋を吊るす。しかしそれは単に物を繋いでいるのではない。舟を港に繋ぐのはそれが人々の生活の足となるものだからだし、橋が吊るされるのはもっと遠くへ行こうとする人類の冒険を助けるものだからだ。それはいわば、人類の心身の命を助けるものだと言える。
 それだけではない。紐の表面積を大きくすれば、それは包帯になる。また、昔の人は赤ん坊を柱にくくりつけて田仕事に向かったそうだが、それは目が離せない赤ん坊の命を守るためだ。そしてそれは今でもおんぶ紐という形で残っている。
 ともかく、命を繋ぐという言葉もあるように、紐は人間の生活、命の活動に深く根付いているのである。

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