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【詩】失われしもの

わずかに白い髪の毛を

はさみで少し切りました

枕の横の

ティッシュの中に

そっと包んで隠しました


大きな体が失われ

声も笑顔も見えなくなって

白いけむりになりました

しばらく空にいたけれど

とうとう消えてなくなりました


胸のあたりがゾワゾワと

喉のあたりがグラグラと

息をするのが苦しいくらい

目を開けるのが怖いくらい

髪の毛だけが残りました


あなたのいないこの世の中が

ずいぶん変わってきたことを

きっと知っているでしょう

きっとどこかで見ているでしょう

やさしく髪を撫でました
















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