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トレニックワールド彩の国100mile&100km備忘メモ【⑦South2】

South2の概要

 South2はkinoca〜竹寺の区間以外はSouth1と同じコース。ただし、kinoca〜竹寺の区間では、天覚山の頂上まで登るほか、足沢山やノボット、仁田山など南側を巡る、かなりアップダウンが増える上に少しだけ距離も伸びるコース。

South2は緑の線を辿る

サンピア②〜A12桂木観音下:7.4km(436mD+)

 South1同様、サンピアの裏山を経てロード、そして五大尊つつじ公園へ向かう。先に出発したTYさんを追いかけると、サンピアの裏山の林道で靴紐を結び直していたので「ゆっくり走りながら待ってます」と声掛けをして先に行く。脚を止めるとペースが崩れそうなくらいギリギリのところで走っている。
 ロードに出る手前でSHさんが後ろから合流。後ろに誰か付いたなと思い、ヘッドライトもしていたので振り向きもせず道を譲ろうとしたら「このままでいいですよ」とおっしゃって、声でSHさんと分かった。
 SHさんはSouth1のエイドではジェルが摂れないとおっしゃって白湯をもらっていて、「サンピア着いたらそこで終わるかも」と何度も話していたが、South2に入って「結局South2行くことにしました」と。結構元気が戻ってきているようで、ロードでも引っ張られる。

 五大尊を通過してトレイルに入ったあたりでTYさんも合流。SHさんが「眠くないですか?」と聞いたら、TYさんは「気合を入れてカフェイン摂ろうとエナジードリンクを飲んだら逆に気持ち悪くなった」と話していた。
 South1はTYさんが常にトレインの一番前を走って牽引してくれたが、この区間は僕が一番前、SHさん、TYさんというSouth1とは逆の順番でトレインに。自分が遅くて迷惑をかけるのではないかと不安に思い、「ペースは大丈夫ですか?」と何度も聞いたが、結局はそのまま桂木観音下エイド手前のロードに出た。

A12:桂木観音下エイド(114.8km地点、標高265m)

 桂木観音下エイドは3回目。もはやルーティンのように、フルーツポンチと豆乳スープをいただく。
 これからの区間はそれなりに長い時間がかかることを覚悟して、補給はしっかり。ドリンクも満タンにして出発。

A12〜A13 kinoca:11.1km(568mD+)

 3人の隊列はSHさん、自分、TYさんの順番に変わる。
 すでに110㎞以上走ったり歩いたりした脚には鼻曲山、一本杉峠までの約4㎞の登りっぱなしは本当にキツイ。脚を一歩一歩上に上げていく。
 朝方も気温は思ったより下がらず、寒さは感じないが、逆に登りではこれまで感じなかった身体の火照りを感じるようになった。寝ていないからなのか、首の後ろから肩回りがポワっとするのでボトルの水をかけてみると気持ちいい。こうして騙しだまし進む。

 一本杉峠のあたりから鳥の鳴き声が徐々に多くなり、朝の到来を告げている。予報では2日目も晴天で気温も28℃くらいまで上がりそう。日の出の予想が朝の4時半頃ということで、徐々に明るくなってくる。
 「太陽が昇るのは仕方ないけど,少しでもゆっくり登ってもらいたいなあ」などと戯言を言いながら歩みを進める。3人の間では「太陽が頭上にギラギラする前に、せめて次のエイドの先にある天覚山を登りきりたい」というのが共通認識になっていた。

 先頭を行くSHさんは調子が戻り始めている様子で、下りになると軽やかに進んでいく。当然ついていけない。これはどこかでついていけなくなるかな、と朧気ながら今後の展開を想定する。せめて竹寺まではついて行きたいが自信が持てない。

 トレイルはうっすら暗いものの,すでに朝日がきれいに顔を出していて,スカリ山のあたりでライトはオフにした。つけていないライトを頭に載せているのは重さを感じて結構ストレス。

 そのあと、ロードに出て北向地蔵に向かう途中に私設エイドを開いている方たちがいて、みそ汁と豆乳をいただいた。みそ汁は温かく、ちょっとしたしょっぱさが体に染みる。3人の写真も撮ってくださり、本当にありがたかった。この私設エイドでヘッドライトをザックに収納して、頭の上はすっきり。写真も撮っていただいた。

 kinocaエイド前のロードに出る直前にある集会所のトイレを再び利用し、顔も洗う。やっぱり朝に顔を洗うのは気持ちいい。一緒の二人には先に行ってもらったので、エイドまでのロードは長く感じる。

A13: kinocaエイド(125.9km地点、標高130m)

 エイドに着いて腰ライトをザックに仕舞う。ライト2つをザックに移動したため、疲れた体には重さを感じる。

 次の区間は時間がかかりそうなので、South1同様、ドリンク中心にエネルギーを摂るためにチャレンジャーを投入。もう片方のボトルは水。エイドスタッフの方がボトルへの給水を手伝ってくれる。一つ一つのサポートがありがたい。
 給水してもらっている間に、このエイドの名物クリームシチューやバナナをいただくことができた。携帯コップでもトマトジュースとカルピスソーダを2杯いただき、South2核心部への覚悟を養う。
 カルピスソーダはなんとなく胃腸によさそうというイメージと、それなりにカロリーがあること、炭酸が入っていて飲みやすいことから、今回はSouth1以降,ほとんど毎エイドでいただいている。

 エイドのスタッフの皆さんは夜通し対応されているのも関わらず,とても親切に対応してくれて頭が下がる。送り出される時も元気に見送ってくれてちょっとだけ精神力(MP?)も回復した。

 ちょうど出発するところで,100mile駅伝に出場しているMouse On TrailのMKさんが到着。一声かけて先を急ぐ。
 ちょっとしたかぶり水(バケツに小さなボウル)があり、一杯だけキャップをかぶったまま頭に水をかける。目が覚めたが、そのあとしばらくキャップから水が滴ったのは失敗だったか。

A13〜A14竹寺:10.8km(1,034mD+)

 残りは40㎞もないが、これからがSouth2の核心部。少し緊張する。100㎞の部ではSouth2は通らないし、試走もしたことがないので、コース自体が初体験となる。

 Kinocaのエイドでは空一面がうっすら曇っていて、当面の間は日差しが強くならない感じ。kinocaのエイドスタッフの方も「今日は一日こんな感じだろうから、昨日みたいには暑くならないよ」と言っていたので一安心。

 kinocaエイドまでは前後にほとんど選手がおらず、ずっと3人で進んでいた。kinocaエイドで100mileの選手を一人パスするが、天覚山の登りが始まるまでに追い付かれる。登りでも普通に走っていたので「これは逃げきれないな」と思って天覚山の途中で自分だけ先を譲る。
 先を譲った選手が少し先を登っている二人にも追いつくかと思ったら、ペースがあまり上がらず、そのまま先の二人との差が開いていく。登りではまだ見えるところにいたので、天覚山に登り切ったら2人の後を追いかけて、できれば追いつきたかったが、天覚山を登り終えたときには姿が見えなくなってしまっていた。

 天覚山の頂上付近で先ほど追い付かれた選手を再度パスして先を進む。ここで一人旅になったが、そのあと2つのポイントで道に迷う。1つは倉掛配水場のところ、もう一つはその後の登りはじめで右に鋭角に曲がるところ。特に後者のポイントでは時計の地図を見ながら進んでいて、表示上はオンコースだったが進むほど道が不明瞭になり、最後に茨の藪があって手が血だらけになったところで引き返した。ここだけで10分弱くらいロストしたと思う。木に巻き付けるように標識があり、しっかりと確認しておけばよかったのに本当にいもったいない。
 そこで後ろから先ほど天覚山でパスした選手に一旦追い付かれて、「小江戸大江戸に参加してませんでしたか?」などと少し話をしながら進んだが、しばらくすると再び一人旅に。

 地図の標高図では、天覚山のあと2回くらい長い急登があると読んでいたが、実際には想定ほど長くはないアップダウンの繰り返しが続き、天覚山ほどの急登はなかったと思う。途中で駅伝参加のMKさんに追いつかれ、先に行ってもらう。やはり足取りは軽い。

 ボトルに溶かし入れていたチャレンジャーはグレープフルーツ味で甘さがあまりないドリンク(カロリーは280kcalある)だが、この区間ではグレープフルーツの苦みを感じるようになった。ジェルなどの甘さに舌が慣れすぎて甘みを感じる部分がマヒしているのかな?と思いつつ、次のエイドから味を変えることにした。

 竹寺エイドに到着する直前、エイドを出発するSHさん、TYさんのお二人とすれ違う。10分くらいの差かな。

A14:竹寺エイド(136km地点、標高492m)

 2回目の竹寺エイドは、朝食として稲荷寿司と豚汁をいただく。ここのスタッフは女性トップトレイルランナーのKKさん。手際よく選手をさばいていく。

 満タンにしていたチャレンジャーのボトルは半分弱、水のボトルは2割くらいになっていて、暑さがあまりないので水分の消費量も少ない。塩分補給用に持ってきた梅干し純もあまり消費せず(あまりほしいとも思わなかったので体も塩分は足りていたんじゃないかな)。

 次の高山不動エイドまではkinoca~竹寺よりも時間はかからないだろうと思い、稲荷寿司を口に入れてカルピスソーダをいただこうと思ったところ、KKさんから「kinocaで途中棄権になってるよ。だから竹寺エイド到着の情報も更新されていない」と教えてもらう。「私もおかしいと思ってみてたから気づいたんだ。ちょっと本部に連絡するから」と、これも手際よくスタッフの方につなげてもらう。

 もう出発できる体制になっていたが途中棄権扱いになっていることに少し不安になる。せっかくSouth2の核心部を抜けてきたのに、こんなところでDNFにされたら泣くに泣けない。でも、これまでほとんど3人パックで来てたし、後ろからエイドに入ってきた選手も「ずっと前を走ってた」と証言してもらえたので、あとはスタッフの指示を待つ。

 5分くらい(と感じた)待って、スタッフの方が本部と電話しながら「先に進んでください」と言ってくれたので、ほっとして前に進む。KKさんには感謝しかない。ありがとうございます。

A14〜A15高山不動:10.5km(843mD+)

 すでに9時過ぎだが暑さは感じない。むしろ竹寺エイドで少し待ったので、体がちょっと冷えた感じで、子の権現までは体を積極的に動かす。

 最初のパートの子の権現の茶屋につくと、MKさんが自販機で水分補給していた。僕も茶屋で何か買おうかなと思ったけど、茶屋の電気が消えていた?ように見えたので何も購入することなく通過。通過しようと走っていた横目におかあさんが一人立っていた(と思う)ので、少し悪いことしたと反省。ぜひ次の機会には利用したい。

 MKさんに追いつき追い越されながら西吾野駅に向かう。一旦下った先(西吾野駅の手前)に信号があって、前を行く100kmか駅伝の選手がいたので、信号の歩行者用ボタンを押すタイミングに合わせて少し歩いて調整。

 いよいよ最後の急登。次のエイドまで3㎞くらいがすべて登りなので、ここも一歩一歩登っていく。斜度がひどくて(きつくて)かかとを着くことができないため、つま先を着いて脚の付け根で登る意識で淡々と登る。上を見ても仕方がないので、ほぼ足元か目の前を見て斜面と対峙する。
 この急登に向けてマグネシウム入りのジェルを摂取する。今回のレースでジェルの摂り方のコツもつかんだ感じがする。
 自分のおすすめとしては、ジェル(40gくらい)のうち最初に半分程度を口に含んですぐに少しの水をボトルから摂る。そうするとジェルが水に溶けて飲み込みやすくなるとともに、甘さが軽減される。さらに2口目で3割(残りの半分くらい)を同じように摂り、最後に残り全部を少し多めの水で飲み込む。
 この方法をとってから、ジェルを飲むのがあまり負担ではなくなった。水っぽいジェルのほうがこの摂り方に合っていると思うけど、メダリストのような少しゼリーっぽいジェルでもいけると思う。

 高山不動手前のトイレで前の選手に追いつく。「もう脚が終っていて、先に行ってください」と言われたので、ここで高山不動エイドまでの坂を先行する。ただし、振り返るとそれほど潰れているわけでもなさそうなので、おそらく関八州見晴台以降は抜かれるだろうなとあまり順位アップには期待しないようにした。

A15:高山不動エイド(147km地点、標高650m)

 こちらのエイドでは残り14㎞未満ということなので、あまり多くの時間をかけないようにした。それでもうどんを食べたり、ヤクルトを飲んだりしていたら、先ほどエイド前に抜いた選手がサッと出発してしまった。

 竹寺エイドでは食べなかった(あまり食べようとしなかった)バナナもいただく。この段階になっても胃腸はトラブルもなく、食欲も逆に戻っている感じ。
 ボトルはそれぞれ半分程度減っていたので、それぞれのボトルに水分を補給して出発。

A15〜A16桂木観音下:8.6km(371mD+)

 この区間も2周目。関八州見晴台まで1㎞未満の登りを終えると基本的に下り基調。ここまで来れば完走も見えてくる。

 下りなので登りほどきつくは感じないが、すでに140㎞以上登り下りしている脚にしてみれば、下りの足取りも軽くはない。脚も上がらなくなっているので、木の根などに気を付けながらゆっくりと下っていく。

 このあたりになると100㎞の選手がちらほら。ペーサーに励まされながら進む人、なかなか足が前に進まない人、そうした人たちに「頑張りましょう!」とか声をかけつつ、逆に声をかけてもらったりして、終盤となって疲れた体を後ろから押してくれる感じ。
 「100mileすごい,かっこいい!」と言ってくれる方もいて、体は思ったように動かないけどモチベーションが上がる。

 関八州見晴台から4㎞ほど下ってロードに出て少し行ったところで100㎞の選手2人が「コースってこっちかな?」と話していたので、追い抜く際に「こっちであってますよ」と声掛けして先導する。
 ここまでくれば桂木観音下エイドまで走れそうななだらかなところは走りつつ、ほぼ完走を手中に収められる実感が湧いてくる。
 気持ちの良いシングルトラックを重い脚に気合を入れながら4回目の桂木観音下エイドを目指す。エイドの直前で100㎞のパックに追いつき、ほぼ同時にエイドに到着。

A16:桂木観音下エイド(155.7km地点、標高265m)

 「ちゃんと4回目も戻ってきましたよ」と挨拶して、豆乳スープとフルーツポンチを2杯いただく。ここまで来たら残りは5㎞ほどなのであまり多くの補給はいらないけれど、この2つだけは外せない。
 このエイドを出たらあとはゴールを目指すだけ。名残惜しさを感じつつ、エイドを後にする。

A16〜サンピア(ゴール):5.3km(141mD+)

 エイド直前に時計を確認すると、累計時間が30:05になっている。「残り55分以内でゴールできればセカンドターゲットの31時間を切れるかも」という欲が湧いてきて、エイドを出た後は可能な限りペースを上げる。

大高取山からの展望をチラッとみてる図(撮影されたのに気づいていない)

 桂木山・大高取山の登りをなんとか乗り切ると、あとは下りとロードのみ。ちらちらと時計を見て残り時間を計算しながら、できるかぎり飛ばす(といっても脚は重いので気持ちだけかも)。
 途中、100㎞の選手に「ここまで来たのにまだ元気だな」と言われたので「脚は終わってるけど、あとは気合だけで走ってます」と答えていく。

 下りきってロードに出たところは残り2㎞くらい。31時間までの残り時間は15分ちょっとだけど,サンピア直前の登り基調のロードや体育館までの坂を考えると結構ギリギリ。

最後のロードは意外に長い。梅園小学校前を通り,Northの最初のコースを逆走して左折するとグラウンドの金網が見える。そこを右折して,T字路を左折し最後のサンピアへの登り。完走の感動は横に置いて,31時間を切るために必死で走る。

サンピアの入口のところで時計を見ると30:52くらい。サンピアの中では応援の方が祝福してくれる。前後に選手はいなくて、自分1人だけのゴール。サイラーになれたこと、セカンドターゲットだけど31時間を切れたこと、自分の力を出し切れたことに満足。

スタート~ゴールは30:54(South2は11:31)、5/19(2日目)13:54着

South2のタイムテーブルと実績
ゴール後、一呼吸置いて撮影してもらった

最後に

 今回はソロでの参加だったが、本当に周りの選手やエイドスタッフ、応援の方に支えられてゴールできたと感じている。
 100mileの大会は2つ目だけど、いろいろ難しいし、その分、対処していくことも面白さの一つだと思う。
 ゴール後は簡単に荷物整理した後、梅の湯に入って汗を流す。一つ前にゴールした選手と湯船で一緒になって、お互いにゴールを讃えあう。
 ブルーシールアイスも初めて食べた(前回は100kmで早朝にゴールだったので開店前だった)。ビールも牛乳も売り切れてしまっていたのは残念だったが、しばらくゴールしてくる選手を見ながら過ごした。
 すぐに来年も出ようとは言えないが、良い大会であることは間違いなく、また参加したい。

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