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下から来るぞ、気をつけろ(戦慄の12→2、もしくは超絶過酷な昇格レース)


これから始まる昇格レース

JFLが終局に近付き昇格……もとい、J参入レースが熱を帯びる一方で、下――地域リーグからの昇格を巡る争いもいよいよ本番を迎えつつある。
いよいよ全国9地域――北海道、東北、関東、北信越、東海、関西、中国、四国、九州――の地域リーグでそれぞれの1位が決まったのだ。

各地域の1位が決まったのなら、それでもう終わりじゃないか。と言われてしまいそうなのだが、日本サッカー界においてはここからがJFL昇格への本当の戦いと言っても過言ではない。敗退すればまた来年1からやり直しとなる最大最悪の関門、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ――通称地域CL――が待ち受けているのだ。

それまでの年間単位のリーグ戦とは異なる約半月ほどという短期間に、予選リーグと決勝リーグ、合わせて6試合をこなす。そんな艱難辛苦の果て、たった2チームのみがJFLへの挑戦権(今季は1位が自動昇格、2位はJFL最下位との入れ替え戦)を手に入れるのだ。

その死闘に参加できるのは全国からわずかに12チーム。先程述べた9地域の優勝チームに合わせ、いくつかの条件を乗り越えた3チームのみ。この時点ですでに狭き門だというのに、さらに2チームにまで絞られるのだってんだからたまったもんじゃない。

事実世の中には、この12→2を乗り切れずに地域リーグ2部へと転落したチームや経営に問題が生じてチーム名が変わってしまったチーム、合併などにより消滅したチームさえ存在するのだ。まったく恐ろしいものである。

そして、仮に12→2に残れたとしても。入れ替え戦に敗れれば、やはり地域リーグからやり直しである。たった半月+αの成績でその後1年の運命が決められる。こんな不条理があって良いのだろうか。否、そこにあるのだ。乗り越えなければ話にならない。改善を求める声もあるだろうが、現時点では大きな潮流にはなっていないからだ。

ひしめき合っていななくは

そんな死闘に挑む今年の12チームは、以下の通り(予定)である。

BTOP北海道(北海道優勝)
ブランデュー弘前(東北優勝)
VONDS市原(関東優勝)
福井ユナイテッド(北信越優勝)
wyvern(東海優勝)
アルテリーヴォ和歌山(関西優勝)
福山シティFC(中国優勝)
FC徳島(四国優勝)
ヴェロスクロノス都農(九州優勝)
FC刈谷(全国社会人サッカー選手権大会枠)
ジョイフル本田つくば(全国社会人サッカー選手権大会枠)
栃木シティFC(Jリーグ百年構想クラブ枠)

下3チームについては上述した通り、いくつかの条件を乗り切って出場枠を手にしたチームである。「全国社会人サッカー選手権大会」についても、これまた恐ろしいほどに厳しい大会ではあるのだが、本筋から外れていくため詳細は差し控えたい。

さて、この中で本年注目されるのは(あくまでにわか視点です。過信しないでください)昨年地域CL3位、もしもFC神楽しまねの処遇が早くに定まっていればJFL昇格もあり得た栃木シティFCが一番手であろうか。
本年は関東トップを逃し、全国社会人サッカー選手権大会でも早々に敗退してしまったが、巡り合わせによる強運で最後の1枠に滑り込んだ。ここからのし上がる可能性は否定できない。

他には前身時代から地域CL常連、今度こそ福井勢初のJFL昇格を手にしたいであろう福井ユナイテッド。同じく県勢初のJFLを目指すアルテリーヴォ和歌山。2部から昇格して即東海リーグをかっさらったwyvern。2020年天皇杯でHonda FCと並んでJリーグチームへの挑戦権を勝ち取った福山シティFCあたりに視線を置きたい。とはいえ、すでにこれだけで地域CL決勝リーグに残れる4チームから溢れてしまっている。この事実から、地域CLの厳しさが伝わってくれれば幸いである。

天下の強豪12チーム

とはいえ、注目におさまらなかったからと言って他の7チームが弱いというわけではない。地域の格差的なものは若干否定できない(人口比とか地域全体のチーム数とか)とはいえ、いずれも各地域を制した、あるいはそれに準ずる強者である。
現に昨年は全国社会人サッカー選手権大会から勝ち上がったブリオベッカ浦安が、その勢いで地域CLもかっさらっている。どこが勝ち上がったとて、文句の言えない戦いとなるはずだ。

そして、なにもJFL昇格決定が道の終わりというわけではない。彼らにはその先、Jリーグ参入への険しい道が待ち構えているのだ。
事実、昨年地域CL2位でJFL昇格を決めた沖縄SVは現時点で最下位に沈み、入れ替え戦の危地に立たされている。
今後更に上で戦っていくためにも、地域CLはある程度盤石に切り抜けられる実力が求められている。かつて2季でJFLをくぐり抜けた、当社比(あくまで)2014年以降最強の挑戦者いわきFCのように。

とはいえ地域CLは、そこまでの道のりとは異なる超短期決戦である。故に、なにが起きても不思議ではない。そして波に巻き込まれれば、理不尽にも来年一からやり直しとなってしまう。

そういった過酷さを改善するためにも、いずれはJFLと9地域リーグの見直しは必要なのだろう(例えば、いくつかの地区に分割された新カテゴリを設けるとか)。願わくば、この先不幸な結末を迎えるチームが増えないことを祈りたい。(あと、一度でいいから地域CLの現地観戦もしてみたいですね。Xとかでのウオッチでは限度がありますし、語るに落ちますので)

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