【小説20】勘違い女神の弊害(異世界転生したオレはスキル<コピペ>で人生を謳歌する)
20 ドラゴンを見に行こう
テントやログハウスが点在する集落が目前に広がり、生活している人々がいる。
俺は今ニトに変貌して、クロは影に潜んでいる。
「冒険者かい?」と男性が声をかけてきた。肌が少し浅黒い。
「こんにちは、ここは森人の村ですか?」「そうだよ、こんにちは。俺はサム。」
俺はエルフのような種族を想像していたが違った。同じ人種だった。
「僕はニトです。あの、ドラゴンがいるって聞いて、ここを尋ねたのですが」
「ああ、ドラゴンはまだまだ先だよ。君は冒険者?」
「はい。ここから先はどのような魔物がでますか?」
「爬虫類系が多いね。もっと先だとミノタウルスが出る。小さな冒険者さん、ドラゴンも凶悪で危険だからこの先は絶対行かないようにね。」
「わかりました。有り難うございました。」元来た道を引き返すフリをして、透明化で村を抜けた。
爬虫類は氷系に弱いのでクロと楽に倒していくと、やがて魔物ミノタウルスが現れた。
俺達を見つけるなりドドドドドと突進してくる。単独の突進系は負かしやすい。
<バインド>や<ヘール>で足止めして<モグモグ>。最近は魔石を吐き出す技術も覚えた。
「けぷっ。」と吐き出した魔石はテオへのお土産だ。
長い時間クロと狩を続け、気が付くと空には赤い月が昇っていた。
「今夜はレッドムーンだな。帰ろう。」クロとダンジョンに戻る。
レッドムーンの夜は月の影響でモンスターの影から新モンスターが生まれる。
グロスもいるこの世界は、特に夜が怖い。まだグロスには対峙していない。
悪臭が酷いそうだから、会いたくは無い。
俺は時々学園の勇者達の様子を見に行っていた。
ついにレベルが100になり4人はワイバーンを召喚していた。
ドラゴンとは比べ物にならないが強敵だ。それを4人は難なく倒していた。
もしかしたらドラゴン討伐は成功するのだろうか。
数日後、『ドラゴンの再討伐が決まり、討伐参加者が集えば城で壮行会が行われる。』4人が興奮して話しているのを聞いた。どんな強者が集まるのか。俺はワクワクしていたが、まだ少し先の話だ。
(ドラゴンを見に行こう。)そう思い立って、遥々森林の中央地帯までやって来た。俺はレベル90、クロは65。
最近はクロの上がり方が遅いので100%クロに経験値を与えている。
神の木、そこは空気が違っていた。神の庭と言うべきか美しく神々しい場所だった。
だが前回の戦いでその場所の周囲の地面はえぐれ木々が折れ重なり、白骨や壊れた武器防具が散らばっていた。
巨大な神木は空に向かって幹を伸ばし枝には緑の葉を纏い光輝き、美しい花々に囲まれている。
その傍に、これまた巨大な黒いドラゴンが1匹眠っていた。
<コピー>するとドラゴンが一瞬目を開けて威嚇してきた。(ヤバイ体が動かない。)
透明化していたのだが勘づかれたようだ。辛うじて「ログイン」と言えた。
<ブラックドラゴン>落ちた神龍
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MAX
<ブレス><全属性耐性><威嚇><絶対防御><毒爪>
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威嚇され詳しく判明できなかった。
(あれの討伐なんて正気なのか? 誰が倒せるんだよ。)
しかし、Sクラス冒険者もいるんだ。希望はあるのかも。
「マスター 大丈夫ですカ?」
「ああ、やっと動ける。ドラゴンに威嚇されたんだ。」
「危険は回避希望。」
「恐ろしいドラゴンだった。」
「コア。間もなく【落ちた神龍】の討伐が始まるんだ、勝率を知りたい。」
「了解!」
俺の腕に巻き付いていたクロも落ち着いたようだ。
「怖かったな、ごめんよ。」
その後魔界情報で俺は意外な報告を手に入れた。大金貨1枚で.........
勝率は30%予想。
魔界では不謹慎にも賭けの対象になり盛り上がっているらしい。
「30%も可能性があるのか。マジで?」
「…予想でス。」
筆頭にSクラス冒険者の獣人テスランと彼の3人の弟子戦乙女。
他国の勇者リーファス Sクラス冒険者<剣星>サイラス
他にもSクラス冒険者が多数参加。 前回より期待が持てそうだ。
回復に不安があり、有能な治癒師が多数いれば勝率がもっと上がる。
グランダ国の勇者PT4人は捨て駒と思われるが、シークレットスキル次第で化ける。
討伐後のエリクサーの配分とドラゴンの遺体の所有権利について、各国折り合いがついていない。グランダは一応、勇者参加と言う事で面目を保っている状況。
ブラックドラゴンはドラゴン島にて首長であったが、不満を持つ後継龍に敗れ傷つき神木に癒しを求めた。
龍族に追放され行き場のないブラックドラゴンは、以来その場に留まり神木の生命を搾取し続けている。
追い出そうとした多数の人間を殺戮。そのため落ちた神龍(カオスドラゴン)と化しているそうだ。
「どっちに賭けますカ?」
「賭けないよ。皆命がけなのに酷いぞ。で、ドラゴンの弱点は?」
「無。」
「そっか、でも負けて逃げてきたんだよね。」
「情報でハ 爪痕多数。」
「物理攻撃が有効なのか? 硬そうだったけどな。」
「鱗 頑強。」
「龍の首長争いに人間が巻き込まれた形か。龍族は責任取ってくれないの?」
「龍 人間に無関心。」
「無責任だな。俺も関わりたくないけど、手伝いはしておくか。」
その日から俺は回復薬爆弾のコピーを続けた。
カオスといえど神龍で神の木から生命力を奪ってきたから聖属性の耐性は高そうだ。
俺は回復役を担ってやろうと思った。勝率が上がるかもしれないからな。
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